「歴史は、裁断好き、そして、少々感情的な女性である。深情(ふかなさけ)もたのしかろうが、斬捨(きりすて)御免も覚悟しなければならない」。神戸本拠の巨大商社鈴木商店の繁栄と破綻を描いた城山三郎の名作「鼠-鈴木商店焼打ち事件-」(1966年)の冒頭部分だ。城山はアカデミズムにおける定説、世間に広く信じられている通念を徹底的な取材と資料読みで洗い直した。その原動力は「権威によって定義づけられた『歴史』への絶えざる疑念」(評論家内橋克人)だった。
「歴史は、裁断好き、そして、少々感情的な女性である。深情(ふかなさけ)もたのしかろうが、斬捨(きりすて)御免も覚悟しなければならない」。神戸本拠の巨大商社鈴木商店の繁栄と破綻を描いた城山三郎の名作「鼠-鈴木商店焼打ち事件-」(1966年)の冒頭部分だ。城山はアカデミズムにおける定説、世間に広く信じられている通念を徹底的な取材と資料読みで洗い直した。その原動力は「権威によって定義づけられた『歴史』への絶えざる疑念」(評論家内橋克人)だった。