■セイバン(たつの市)
工場に足を踏み入れると、ずらりと並んだミシンに圧倒された。老舗ランドセルメーカー、セイバン(たつの市)の本社工場。2020年、播磨地域に点在していた三つの工場を集約して新設された。
ランドセルは250種類以上のパーツでできている。「カブセ」と呼ばれるふたや肩ベルトといった大きな部分から、ポケットのマチなど小さなものまで。工程数は400以上。革を裁断したり、薄く加工したり、刺しゅうを入れたり。自動化された工程もあるが、想像以上に手作業が多い。
肩ベルトの工程では、セイバンの代名詞「天使のはね」が、ベルトの付け根部分に貼り付けられていた。樹脂製のパーツで、付け根付近は硬く、先の方へいくにつれて薄く軟らかくなっている。子どもの肩と背中にランドセルを密着させるための仕掛けで、軽い背負い心地を実現している。