日本の「伝統的酒造り」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、日本酒の海外での知名度向上に期待が高まる。全国随一の酒どころ兵庫の灘五郷では、新型コロナウイルス禍が明け、インバウンド(訪日客)の姿が目立つ。さらなる誘客や需要の拡大につなげようと、関係者らは発進力の強化に力を注いでいる。
12月3日朝。神戸市東灘区の清酒大手、菊正宗酒造が敷地内に構える同社記念館は外国人観光客らであふれていた。韓国や中国、欧州などさまざまな国籍の人たちが、巨大な樽や水車による精米用具など古来の酒造道具が並ぶ展示や利き酒、買い物を楽しむ。「酒造りの文化はとても伝統的。私にとって強いお酒だけど、香りが良いですね」とスペインから家族で訪れた男性(26)は笑顔を見せた。