日新信用金庫の山本良一理事長=明石市本町2
日新信用金庫の山本良一理事長=明石市本町2

 ものづくりを中心に産業が分厚く集積する播磨地域には、兵庫県外の地方銀行が多くの店舗を構え、低金利で融資拡大を競ってきた。金利の復活で競争は再燃するのか。日新信用金庫(明石市)の山本良一理事長(62)は「金利競争はしない。関係を深めてメインバンクとなれる取引先を増やす」と断言する。(聞き手・高見雄樹)

 -融資先の状況から見た地域経済は。

 「日本経済で『値上げが浸透』『賃上げが進む』というのは大企業からの視点だ。当金庫の取引先には零細企業が多く、ギャップを感じている。確かに、大企業に直接納入する企業は価格転嫁しているが、2次、3次下請けになると難しい。社長が価格転嫁を認めていても、現場の担当者が以前の感覚で値下げを求めるケースもあるようだ」

 -貸出金利をどう上げるか。

 「零細企業の厳しい現状では、金利の上昇分が利益の減少や赤字の拡大につながる。よく分かっているので、全ての取引先に丁寧に説明し、すでに引き上げた」

 -新型コロナウイルス対策の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)で、兵庫の利率は0・7%と全国最低。影響は?