学校の垣根を越えて議論する高校生ら=神戸市中央区小野浜町
学校の垣根を越えて議論する高校生ら=神戸市中央区小野浜町

 兵庫県内の学校に通う高校生らが県政を学び、語るイベントが4日、神戸市中央区のデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で開かれた。但馬や淡路など各地から約20人が参加し、兵庫の未来を考えた。(名倉あかり)

 17日投開票の知事選を前に、高校生に関心を持ってもらおうと県内の教員有志らでつくる「兵庫県高等学校『社会系教科』研究会」が開催した。

 2022年に県が策定した県政の将来像を描く「ひょうごビジョン2050」を参考に議論。ビジョンには副業や兼業を選べ、年齢、性別を問わず生き生きと仕事ができる「自由になる働き方」、探求型教育や体験学習、学び直しが広がる「みんなが学び続ける社会」-など15項目が示されている。

 冒頭、夢野台高教諭の田畑北斗さん(42)が人口減少や平均初婚年齢の推移といった兵庫の現状を数字で紹介。就職や進学のタイミングで県外へ出ていく20代が多いことを指摘し「知恵を出し合ってこれからどうしていったらいいか考えよう」と呼びかけた。

 前半のグループワークでは、県立大の無償化は若者に県内にとどまってもらうために有効な施策かどうかを議論した。生徒からは「県立大は地域と関わる機会が多く、定住につながる可能性がある」「(無償化は)将来県内の企業に勤めるなどの条件を付けるべきでは」などの声が上がった。

 後半は子育てや働き方、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)の課題について意見を交換。最後にこの日の議論を踏まえて新しい知事に要望したいことをアンケートに記して締めくくった。

 仁川学院高2年の斯波早穂さん(16)=西宮市=は「自分にとって身近な問題も知事選の論点だと分かった。候補者の主張を調べてみたい」。企画した灘中・高教諭の池田拓也さん(48)は「それぞれが住む地域の事情を背景に話し合えたのはよかった。こういう場がもっと増えれば」と期待した。