人々が行き交うメコン川。ベトナムの大地の輝きを作品に移し込んだ(1997年、いずれも黒木亮さん提供)
人々が行き交うメコン川。ベトナムの大地の輝きを作品に移し込んだ(1997年、いずれも黒木亮さん提供)

 海外ビジネスの現場をビビッドかつ精緻に伝えてくれる経済小説はありそうであまりない。現代ではロンドン在住の黒木亮がそのトップランナーといえる存在だ。「巨大投資銀行(バルジブラケット)」「排出権商人」「赤い三日月」「メイク・バンカブル!」など意欲的な国際経済小説を出し続けている。都市銀行、証券会社、総合商社に勤務した経験と、丁寧な取材を基に紡ぎ出す作品群は、圧倒的なリアリティーに満ちている。