アイデアと情熱で三洋電機を家電大手に育て上げた創業者井植歳男。故郷の淡路島に造った工場を視察する=1966年7月、三洋電機洲本工場(提供)
アイデアと情熱で三洋電機を家電大手に育て上げた創業者井植歳男。故郷の淡路島に造った工場を視察する=1966年7月、三洋電機洲本工場(提供)

 神戸・塩屋のジェームス山に立つ洋館を20年ぶりに訪ねた。オレンジ色の丸瓦、優美なアーチ開口、質感あるスタッコ壁…。スパニッシュ様式の建築が眼下に広がる海の紺碧(こんぺき)に映える。1934(昭和9)年、貿易商、E・ジェームスの自邸として建てられ、その後、三洋電機の創業者、井植(いうえ)歳男(1902~69年)が購入した。時を経て婚礼施設のノバレーゼ(東京)が運営するブライダル・レストラン「ジェームス邸」になっているが、井植記念館や塩屋土地など付近に刻まれた三洋電機のDNAに触れると洋館の名称は井植が名付けた「望淡閣」がふさわしい。