今年就任した兵庫県内の主な企業23社の社長は、グローバル展開強化に向けて豊かな海外経験を買われた人や、創業家出身者など多彩な顔ぶれが並んだ。四半世紀ぶりの交代や社外からの登用などさまざまだ。
新社長は、30代1人▽40代4人▽50代5人▽60代13人でいずれも男性。トップ交代があった22社の社長の平均年齢(就任時)は55・4歳で、12・0歳若返った。三菱電機と三菱重工業が合弁で設立した発電機事業会社「三菱ジェネレーター」(神戸市兵庫区)では三菱電機出身の中野直広氏(63)が初代社長に就いた。
アシックス(同市中央区)では、日本IBMなどを経て2018年に入社し、IT統括部長などを歴任した富永満之氏(62)が社長兼最高執行責任者(COO)に就任。後を託した廣田康人氏(67)は会長として、引き続き最高経営責任者(CEO)を担う。
貨幣処理機大手のグローリー(姫路市)はキャッシュレス化など事業環境が変わる中、ビジネスモデル転換の道筋を付けた三和元純氏(70)が会長に。海外企業の買収を率いてきた原田明浩氏(61)が昇格した。
神戸製鋼所(神戸市中央区)は、品質データ改ざん問題発覚の翌18年から社長を務めてきた山口貢氏(66)が「信頼回復への改革に区切りがついた」として、副社長だった勝川四志彦(よしひこ)氏(62)にバトンを引き継いだ。
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前回から四半世紀以上空いたトップ交代は4社。いずれも創業家一族内での継承となった。37年ぶりの代替わりとなったエム・シーシー食品(同市東灘区)は水垣宏隆氏(84)から、次女の夫で営業畑を歩んだ佳彦氏(51)へ。肥料メーカーの多木化学(加古川市)は27年社長を務めた多木隆元氏(70)の後任に長男の勝彦氏(40)が就いた。
播州信用金庫(姫路市)は27年ぶりに和田長平氏(78)から高広氏(48)、姫路信用金庫(同市)は30年ぶりに三宅知行氏(80)から智章(とものり)氏(49)へといずれも長男に理事長を託した。
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増田製粉所(神戸市長田区)では三菱商事出身の伊藤勇氏(55)に代わり、技術畑の内藤徳喜氏(61)が4代ぶりの生え抜きとして就任。子ども服のキムラタン(同市中央区)はアパレル事業の縮小、不動産事業の強化で経営の立て直しを進めた清川浩志氏(43)から、外食チェーンのフジオフードグループ本社(大阪市)取締役の九鬼祐一郎氏(60)に引き継いだ。
社外から迎え入れるケースでは、川上塗料(尼崎市)が大株主の三井物産出身で三井物産戦略研究所特別顧問の西村聡一氏(62)を、神東塗料(尼崎市)は住友化学の常務執行役員の小坂伊知郎氏(63)をトップに据えた。神戸電鉄(神戸市兵庫区)は、8代連続で阪急電鉄出身者となる井波洋氏(62)が就任した。(石川 翠)