解体される風力発電機のブレード(羽根)部分。従来はほとんど埋め立て処分されていた(イボキン提供)
解体される風力発電機のブレード(羽根)部分。従来はほとんど埋め立て処分されていた(イボキン提供)

 資源リサイクルのイボキン(たつの市)は、風力発電機のブレード(羽根部分)をセメント原料に100%リサイクルすることに国内で初めて成功した、と発表した。ブレードは適切な処理方法がなく、従来はほとんど埋め立て処分されていた。活用の道筋がついたことで再生可能エネルギーの利用拡大が期待される。

 風力発電関連事業や重量物の輸送・据え付けなどを手がけるアチハ(大阪市)と共同で実証した。

 昨年、兵庫県内で請け負った風力発電機の解体工事で、ガラス繊維強化プラスチック製のブレードを回収。イボキン本社工場で細かく破砕した後、太平洋セメント子会社の敦賀セメント(福井県敦賀市)で再資源化を行った。

 具体的には、セメント製造設備の熱処理炉に破砕した廃ブレードを投入し、攪拌や高熱処理の工程で熱源として利用。焼却後に残ったガラス繊維を含む物質をセメント中間製品の原料として活用したという。

 国が2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出の実質ゼロ)を掲げる中、風力発電は洋上発電を中心に普及が見込まれている。ただ、風車の寿命は20年程度で、役目を終えた後の活用法がなく、大量廃棄が課題になっていた。

 今後、風車を更新する際などにリサイクルが確立されれば、環境負荷の低減につながる。イボキンは「風力発電の課題の一つに答えを出すことができた。今後もリサイクルを通して、風力発電の普及拡大に貢献したい」としている。(横田良平)