第1局で芝野虎丸名人に勝利し、対局を振り返る一力遼天元=7日午後、名古屋市東区、文化のみち橦木館
第1局で芝野虎丸名人に勝利し、対局を振り返る一力遼天元=7日午後、名古屋市東区、文化のみち橦木館

 囲碁の一力遼天元(27)=棋聖、本因坊=に芝野虎丸名人(24)が挑む第50期天元戦5番勝負(神戸新聞社主催)の第1局が7日、名古屋市の「文化のみち橦木館」で打たれ、午後6時半、白番の一力が289手までで半目勝ちし、初防衛に向けて好発進した。

 持ち時間各3時間のうち、残りは両者とも1分。第2局は18日に札幌市の京王プラザホテル札幌で打たれる。

 序盤は芝野が黒3(3十七)、一力が白10(17三)と三々を打ち合う流行形になり、速いペースで手が進んだ。一力は白68(17十三)で、黒が支配する右辺に侵入。これに対し、芝野は黒103(14十二)、105(15十一)で巧みに白の眼形をなくし、激しく攻め立てた。

 大石を攻められた一力は、白120(11十一)からの3手で逆に上辺の黒の大石を狙って反撃した。その後、黒167(7一)のアテに逃げず白168(15十七)と切り、コウ材を確保して優位に。白256(8一)で一気に15子を取ったが、芝野が下辺に大きな地を得る派手なフリカワリで大接戦になり、最後は作り碁で決着した。

 立会人の山城宏九段(66)は「お互いに生きるか死ぬかの攻め合いになり、非常に難解だったが、面白い戦いだった。世界的にもトップレベルの攻防。次局以降も激しい読み合いになるだろう」と話した。

【一力遼天元の話】白68(17十三)と打ち込みシノギ勝負になった。途中は自信がなかったが、攻め合いに勝ったところで白がよさそうになった。白230(1十)が単純なミスで、一気に細かくしてしまった。あり得ないくらいの損で負けにしてもおかしくない。最後は運がよかった。

【芝野虎丸名人の話】序盤がつらく、黒57(11十五)から思い切り打った。白68(17十三)と入られては苦しい。白168(15十七)とキリ一本でコウ材ができると考えていなった。黒235(1七)のオキが見えて細かくなった。正しく打てば何かあったかもしれないが、チャンスはなかった。

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