長い間ゲイであることを誰にも打ち明けることなく孤独に生きてきた男性の生きざまを追うドキュメンタリー映画「94歳のゲイ」が、8日から神戸市中央区元町通4の元町映画館で上映される。吉川元基監督(35)は「激動の時代を生き抜いてきたその姿を通し、日本でゲイの人たちがどう認識されてきたか知ってほしい」と話す。
吉川監督は2012年、毎日放送(MBS)に入社。大阪・西成地区周辺の取材を通して90代のゲイの男性が1人で暮らしていると知り、21年、長谷忠さん(95)=大阪市=と出会った。「無知をさらすようだが、そんな高齢のゲイの人がいるのかと驚いた」と振り返る。だが「昔からいたはずなのに、いないことになってきたのではないか」。そう考え、長谷さんに取材を申し込むと「どんな描かれ方をしても、悲しむ人も喜ぶ人もいないから」と了承してくれたという。