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中井久夫さんが愛用した品々や自筆のスケッチ、自宅で飾っていた絵画などが並ぶ=ギャラリー島田
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中井久夫さんが愛用した品々や自筆のスケッチ、自宅で飾っていた絵画などが並ぶ=ギャラリー島田
中井久夫さんの著書や原稿を紹介する島田誠さん=ギャラリー島田
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中井久夫さんの著書や原稿を紹介する島田誠さん=ギャラリー島田
中井久夫さんが描いていたネコのスケッチ=神戸市中央区山本通2、ギャラリー島田
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中井久夫さんが描いていたネコのスケッチ=神戸市中央区山本通2、ギャラリー島田
中井久夫さんが描いていたネコのスケッチ=神戸市中央区山本通2、ギャラリー島田
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中井久夫さんが描いていたネコのスケッチ=神戸市中央区山本通2、ギャラリー島田
中井久夫さんの著書や原稿を紹介する島田誠さん=神戸市中央区山本通2、ギャラリー島田
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中井久夫さんの著書や原稿を紹介する島田誠さん=神戸市中央区山本通2、ギャラリー島田

 阪神・淡路大震災の被災者の心のケアなどに尽力し、昨年8月に88歳で亡くなった精神科医を追悼する企画展「こころを観る 時代を観る -中井久夫さんを偲んで」が、神戸市中央区山本通2のギャラリー島田で開かれている。著書や自筆原稿、書簡など資料200点以上が並ぶ。

 中井さんは1934年、奈良県生まれ。甲南中・高校、京都大卒。80年から神戸大医学部教授。統合失調症の研究と治療に貢献した。震災後の被災者支援にも従事し、2004年、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の研究や治療にあたる全国初の施設「兵庫県こころのケアセンター」初代センター長に就任した。

 昨年12月、戦時中の体験を基に考察した著書「戦争と平和 ある観察[増補新装版]」(人文書院)が出版された。その中にギャラリー島田の画廊主、島田誠さん(80)と、97年に震災体験などを語った対談が収録されている縁で、遺族や友人、みすず書房などの協力を得て、追悼展示が実現した。

 同書から引いた言葉が随所に展示される。「平和は維持であるから、唱え続けなければならない」もその一節。ロシアによるウクライナ侵攻が続く今、戦争の本質を考え抜いた洞察力に胸を打たれる。壁には精神医学だけでなく、フランスやギリシャの詩の翻訳、絵本など著書約100冊が並び、文学への造詣の深さもあらためて示す。神戸大学での最終講義の映像も流す。

 コートや帽子、ゾウ柄のネクタイなどの愛用品や母校の山岳部の会報、庭に植える草木の計画図、料理のレシピメモも。世話をしていた猫を、丸みを帯びた線で描いたスケッチからは、温かい人柄が伝わる。

 島田さんは「最初の出会いからずっと優しい方だった。中井先生の生き方と言葉は、すべての人にそっと寄り添い語りかけてくれるよう。その広がりや深さ、強さや優しさにも触れていただきたい」と語る。

 29日まで。会期中無休。午前11時~午後6時(最終日は同4時まで)。入場無料。主要な著書を販売中。ギャラリー島田TEL078・262・8058

(小林伸哉)

文化震災28年中井久夫さん
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