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カミングコウベの意義について語る風次さん=神戸市中央区琴ノ緒町、ライブハウス「太陽と虎」
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カミングコウベの意義について語る風次さん=神戸市中央区琴ノ緒町、ライブハウス「太陽と虎」

 阪神・淡路大震災の発生から28年がたった1月17日。今年も日本最大級の無料チャリティフェス「COMING KOBE(カミングコウベ)」が5月27、28日に神戸市内で開催されることが発表された。実行委員長の風次さん(43)にカミングコウベに懸ける思いを聞いた。

■出演者に手紙

 -入場無料で、出演者はノーギャラ。震災を語り継ぎ、「神戸からの恩返し」として被災地支援をするなど、カミングコウベは他のフェスとは性格が大きく違います。

 「出演アーティストに趣旨をしっかり理解してもらうようにしています。分からないままステージに立つと、お客さんにも思いが伝わらない。だから、カミングコウベには、僕らが全然知らないアーティストやライブを見たことないアーティストが出ることはありません。酒を酌み交わすなど、ちゃんと話をして思いを伝え、それをくんでもらい出演してもらっています」

 「出演当日にも、全バンドに手紙を書いてわたしています。あらためてイベントの趣旨やストーリーなどを書いて『お願いします!』と」

 -手紙を書くのは以前から?

 「松原(前実行委員長。2019年に腎臓がんのため39歳で他界)から僕に実行委員長が代わってからです。僕が懇意にしているバンドも多くいるんですけど、松原の方が距離が近かったバンドもいたので、僕の思いが伝わるように」

■食堂で演奏した、あいみょん

 -若手アーティストの登竜門的なフェスにもなっています。

 「地元のバンドや無名のアーティストが、最初に出るフェスになればいいなと。カミングコウベをジャンプ台にして、でかくなってくれと思っています。初めはキャパが200人くらいのアンダーグラウンドSTAGEに出演し、最終的にメインステージにはい上がったバンドもいっぱいいます。キュウソネコカミとかフレデリックとか。あいみょんもワールド記念ホールの入り口や食堂で演奏してもらったこともありました」

 「(店長を務める)ライブハウス『太陽と虎』には日々いろいろなバンドが出演するので、1年通してカミングコウベの出演者を探しています。新しいバンドと出会うためのオーディションもしています」

■神戸に帰るきっかけ

 -2005年の第1回から毎回トリはガガガSPが務めています。

 「トリはガガガSPが絶対と考えているわけではないです。たくさんのバンドと話しながら、いろいろな角度から雰囲気も見ながら(ラインアップを)つくっていくので。ただ、結果的にガガガSPがずっとトリをやっていることで、『いつでも帰ってこられるイベント』という感じになっていると思うし、大きい同窓会のようでもある。神戸に帰ってくるきっかけになったり、友達同士で久しぶりに再会したり」

■「いらんこと」をする

 -新型コロナウイルス禍で運営も厳しいのでは。

 「コロナ禍になってからスポンサーが集まらなくなり、かなりきついです。コロナ禍前の半分ほどに減りました」

 「正直に言えば、毎年しんどいです。みんなに生かされながらやれている。神戸のみんなが、自分たちのイベントだと思ってくれているんです。『カミングコウベを守っていかなあかん』『みんなでつくっていこう』と、僕以上に思ってくれる人たちが多い。若いバンドの子たちもカミングコウベ出演を夢に頑張っているという話を、専門学校の先生から聞いたこともある。じゃあ、しっかりやるしかないなと」

 「カミングコウベは仕事ではないし、ほんまはやらなくてもいいことなんです。でも、やらなあかんことしかやらへんのやったら、普通じゃないですか。もっといらんことをたくさんやったほうがおもしろいし、神戸も盛り上がると思います」

【ふうじ】1979年尼崎市生まれ。バンド活動を経て、神戸のライブハウスで働き、2010年設立の太陽と虎で現在まで店長を務める。19年からカミングコウベ実行委員長。神戸市兵庫区在住。

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