弁当を販売する西藪梓さんと夫の正貴さん。トレーラー(右奥)とワーゲンバスが目を引く=明石市貴崎3
弁当を販売する西藪梓さんと夫の正貴さん。トレーラー(右奥)とワーゲンバスが目を引く=明石市貴崎3

 のどかな住宅街に光り輝く宇宙船!? 家族4人でトレーラーハウス暮らしをしている女性が週1回、兵庫県明石市貴崎3の自宅敷地で手作り弁当や菓子を販売している。瞬く間に地域住民や通勤者らの人気になり、女性は「家庭のように、きつくない味がいいのかな。食を通じ人とつながれることがうれしい」と話す。(松本寿美子)

 「AZU KITCHEN」の西藪梓さん(38)。約10年前、夫の正貴さん(38)の当時の勤務先に近かったため大阪から移ってきた。トレーラー暮らしは正貴さんのアウトドア好きから。隣に中古住宅もあり、商品はそのキッチンで作るが、日常生活はトレーラーで送る。秘密基地のようで、子どもの友達も面白がって泊まりに来るという。

 西藪さんが弁当販売を始めたのは昨年11月から。結婚後、菓子作りが趣味になり「いつか店を持ちたい」と夢見るように。自宅前は人通りが多く、地域交流にもなればと思い立ち、「日々の健康を支えるものを」と弁当も売ることに。コロナ禍のテイクアウトブームとも重なった。

 毎週火曜、午前7時に開店。取材日はミートボールなど7品のおかずとご飯が入った彩り弁当(500円)、エビと鶏肉のココナッツ風味ホワイトカレー(同)など。弁当、カレーもしくはどんぶりで計100食ほど仕込むが、半分は予約で埋まり、残り半分も9時ごろに完売する。

 近くで働く人や地域の集まり向けに高齢者らが求めるという。「ゆっくり始めるつもりだったのでびっくりしている」と西藪さん。「キンカンを差し入れてもらったり、地域のことを教えてもらったり。食を通じた人のつながりを大事に、地域で生きていきたい」と話す。

 インスタグラムは azu_kitchen_bento