日本高野連が野球部の指導、育成に貢献した監督や責任教師を表彰する「育成功労賞」に、滝川を30年以上指揮した不老伊知郎さん(66)が選ばれた。このほど表彰伝達式があり、「野球も勉強も頑張れる子に恵まれた」と文武両道にまい進した歳月に思いをはせた。 育英高時代に1977年の選抜大会に出場。大商大などを経て滝川の監督に就任した。同校は旧制滝川中からの野球名門校だが、伝統は兄弟校の滝川第二に継承され、進学校として再出発していた。不老さんは野球部で勉強会を開き、プロのスカウトが来ても大学進学を理由に入団を断っていたという。 一方で野球の練習は「どこにも負けないぐらいやった」。グラウンドは他部と共用で狭いが、バックネットに打たせたり、夜間に黄色い球でノックをしたりと工夫した。こだわりは無失策で大会を終えること。「自分のミスで負けたと思ってほしくないし、みんなで勝利を分かち合える」。県8強に何度も進んだ。 受賞は驚きだったといい「甲子園に一度も行っていない。勉強との両立も当たり前のことですから」。今後は「一ファンとして高校野球を応援したい」と笑みを浮かべた。(伊丹昭史)