夏至に近づくこの時期は、淡い闇が少しずつ空を夜に変えていく。そのグラデーションを眺めながら、定時制高校に勤務していた時は登校してくる生徒を校門で待っていた。
「夏は、夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛び違ひたる。」と、枕草子を読みながら、平安時代と現在の時間がつながる不思議な感覚を生徒と味わっていた。定時制高校では、昼間アルバイトに行った後、登校してくる生徒も多い。彼らは早くから大人の世界に半分いることで、苦労している部分もあり、学校に来ている間は楽しい時間を過ごしてほしいと思っていた。
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