無事に東京に到着した母は余震への不安もなく、ぐっすりと眠れたようでした。母が話し始めました。上空にヘリコプターが飛び交い、街には自衛隊の方々がたくさんいらっしゃってまた戦争を体験しているかのような感じだった…。これは震災との闘いなんだ、みんなで支え合い、励まし合い、復興に向け頑張っていかなくてはならない闘いなんだ。戦争を知らない私にもそう感じられました。
3日もすると母は、神戸に帰りたい、家に帰りたいと言い始めました。香川県出身の母は物心ついた時にはもう神戸に居住していたそうです。だから神戸は母にとって故郷、愛すべきわが家なのです。もちろん私にとっての神戸も愛すべき故郷、大切なわが家です。またいつ大きな余震が来るかわからないという予断を許さないなか、ライフラインも遮断され不自由な思いをすることは間違いのない状況下に、それでも帰りたい…神戸を思う母の気持ちが私にも痛いほどわかりました。
この記事は会員限定です。新聞購読者は会員登録だけで続きをお読みいただけます。