兵庫の思い 東北へ
前向きさ 音色に乗せて

山本豈夫(やすお)さん (77)
アスタ新長田スティールパン振興会代表/神戸市長田区

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兵庫の思い 東北へ
前向きさ 音色に乗せて

山本豈夫(やすお)さん (77)
アスタ新長田スティールパン振興会代表/神戸市長田区

 東北の被災地で初めて演奏したのが2013年の春。東日本大震災からまだ2年、傷痕も生々しい中で演奏することに不安はあったけど、お年寄りまでリズム取って聴いてくれたのがうれしかった。
 初めての東北。宮城で仮設住宅を見た時は言葉が出なかった。20年前の阪神・淡路大震災の記憶がよみがえったから。鍵や工具を扱う新長田の店舗兼自宅が全壊。仮設店舗で営業した2年間、配達で仮設を回ったけど、あの時の風景と重なって...。家族は無事やったけど、いい思い出ないもん。
 でもスチールパンと出合ったのも震災がきっかけ。01年の復興記念事業のイベントを考えていた時、市職員に教えられてね。ドラム缶を元にしたカリブ地域の楽器で、ポワーンとした音色にすぐほれた。震災支援へのお礼だけじゃなく、自分たちも元気でありたい、という願いがあったのでラテンらしい雰囲気も良かった。2度の地震に遭った新潟へも慰問に行きました。東日本大震災の様子をテレビで見てて、いつかは東北にも―という思いはずっとありました。
 今年も3月に行きます。復興への課題は山積みやと思う。でも震災から20年たって前向きに生きてるおっさんがいる。そんな姿を見てもらうだけでも、神戸から行く意義ってあると思ってます。
(聞き手・中西幸大)


2015年2月17日掲載
写真撮影場所:

神戸市長田区西尻池町3