震える心 力に変えて
もらった勇気 今も励みに

大島公一さん (47)
オリックスコーチ/大阪府豊中市

▼ 記事を読む ▼
震える心 力に変えて
もらった勇気 今も励みに

大島公一さん (47)
オリックスコーチ/大阪府豊中市

 震災のあった1995年のオリックスは強かったなあ。「がんばろうKOBE」のワッペンを袖に付けて、チームとファンががっちり一体になってました。当時在籍していた近鉄は、神戸ではほとんど勝てませんでした。
 縁あって、その年のオフにオリックスに移籍、翌96年に初めて二塁手で開幕スタメンに選ばれました。プロ入り以来の夢がかなったその日、傷ついた街から多くのファンが駆けつけてくれました。あの時の声援を今も忘れません。
 シーズン中、選手同士は震災のことをあまり話題にしませんでした。プロは全力でプレーすることだけを考えてますから。トロイ・ニール選手だけはことあるごとに「ガンバロー コウベ!」と大声を上げてましたけど。
 その年、チームは初の日本一になりました。優勝パレードではファンから「ありがとう」と声をかけられましたが、僕は「こちらこそ」と返しました。開幕以来、勇気をもらったのは自分の方だと感じていたからです。
 震災後も、僕たちは恵まれた環境で野球をやらせてもらえました。2005年に現役は引退しましたが、つらい思いをした人たちのことを考えたら、ユニホームを着ている間は弱音を吐けないと思っています。(辰巳直之)


2014年8月19日掲載
写真撮影場所:

神戸市須磨区緑台、ほっともっとフィールド神戸