転機 それから
地域の人を楽しませる

林家染左さん (42)
落語家/大阪府池田市

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転機 それから
地域の人を楽しませる

林家染左さん (42)
落語家/大阪府池田市

 人生の転機は、避難所での一席でした。
 震災当時、私は大阪府泉佐野市の学芸員でした。生まれ育った宝塚の役に立ちたいと思い、約2カ月が過ぎた頃、ボランティアで落語をしました。幼い頃から大好きで、大学では落研にいたんです。
 避難所の図書館には30人ほど集まりました。古典落語「子ほめ」がうけましてね。いや、素人の下手な話やったと思います。でもすごく喜んでくれて。地震の後、娯楽というか、ほっとできる時間がなかったんでしょう。
 その時思いました。人を楽しませる落語ってやっぱりええなあと。そして、私の実家も被災しましたから、誰も明日どうなるか分からない、悔いの残らない生き方をしようと。翌年役所を辞め、林家染丸師匠に弟子入りしました。
 1997年に宝塚市売布の仮設市場で始まった「めふ乃寄席」に、ずっと出続けています。宝塚ソリオホールでは、子どもたちの落語教室も。ここ宝塚は、歌劇でも知られるように、文化を大事にする土地柄です。一朝一夕にはいかないけど、私の活動も地域の復興につながると信じています。(三浦拓也)


2014年7月24日掲載
写真撮影場所:

宝塚市栄町2、宝塚ソリオホール