阪神・淡路大震災からの復興を目指す土地区画整理と市街地再開発の両事業が都市計画決定されてから、十七日で三年を迎える。住民の強い反発を受けてのスタートだったが、区画整理はほぼ全域で事業進展のめどがつき、仮換地指定の段階に入った。再開発は一部で受け皿住宅となるビルの建設に着手したが、事業計画の未決定ゾーンが面積にして約四割残っている。元の住民が戻れるのか、事業の是非をめぐって生じた住民間の溝は埋まるのか・。区画整理、再開発とも復興事業としての評価が下されるのはこれからだ。
区画整理事業は追加指定を含めて十七地区二百五十四ヘクタール。事業計画決定に至っていないのは芦屋西部と森南(神戸市)の一部だけとなった。芦屋西部は二月に県都計審での審議が済み、住都公団施行の第一地区は意見書が建設大臣に送られている。市施行の第二地区は知事認可を待つ段階。
宅地の配置換えである仮換地指定の平均指定率は約三割とみられる。先行しているのは全域で一斉指定した西宮市の森具はじめ神戸市の鷹取東第一(九三%)六甲道駅西(七四%)などで、整然とした街路が姿を見せ始めた。
再開発事業は六地区三十三ヘクタール。うち約二十ヘクタールで事業計画決定した。決定後に元の資産評価の交渉が始まる。ビルの権利者以外への保留床分譲の見通しも明るいとはいいにくく、自治体財政への影響を懸念する声は根強い。
被災住民が元の町に戻れてこその復興事業だが、区画整理、再開発の対象地区の人口は激減したまま。事業の網がかかったことによって戻るための経済的なハードルがより高くなった側面もある。
また事業の是非をめぐり住民間にしこりが残った地区も。ハード部分のまちづくりが着々と進むなか、新たなコミュニティーづくりは四年目も課題であり続ける。
1998/3/17