スケボーが趣味の大学生Aさんは、近所に専用のパークがないため、夜になると駅前の広場へ通い、路上や平らなタイルの上で技の練習に励んでいます。人通りの少ない時間帯を選び、誰にもぶつからないよう十分に配慮して滑っていました。
そんなある日の夜、いつものようにスケボーの練習をしていると、パトロール中の警察官に呼び止められました。警察官は「ここでスケボーをしてはいけません。すぐにやめて移動しなさい」と厳しい口調でAさんに指導をします。
警察官の言葉にAさんは「誰かをケガさせたわけでもないし、ただ練習しているだけ。なぜ犯罪者のような扱いを受けなければならないのか」と納得がいきません。人通りの少ない路上や駅前の広場でスケボーの練習をすることは、法的に問題があるのでしょうか。まこと法律事務所の北村真一さんに聞きました。
■「ぶつかっていない」は免罪符にならない
ー公道や駅前広場でのスケボーを制限する法律はあるのでしょうか
主に「道路交通法」が関係します。同法76条4項3号では、交通の頻繁な道路において、球戯やローラー・スケート、またはこれらに類する行為をすることが禁止されています。スケボーもこれに含まれます。
また、駅前広場などはその自治体の条例や、道路管理者の規則によって「スケボー禁止」が明文化されていることがほとんどです。「交通の頻繁な道路」の判断は警察官によりますが、日中に人が多い場所であれば、夜間に人がいなくても「禁止場所」とみなされる可能性が高いといえます。
ー「誰にもぶつかっていない」なら法的に問題はありませんか
誰にもぶつかっていないからといって、法的に許されるわけではありません。道路交通法は「事故を未然に防ぐこと」も目的の1つだからです。
たとえ本人が配慮していても、周囲が恐怖を感じたり、歩行者の通行を妨げたりすれば、それ自体が規制の対象となります。また、夜間の滑走音が近隣住人の迷惑となり、軽犯罪法の「静穏妨害」に問われるケースも少なくありません。
ーベンチや段差を傷つけた場合も罪に問われますか
駅前にあるベンチや縁石(カーブ)などを使って技の練習をし、その施設を傷つけた場合は、刑法の「器物損壊罪」に問われる可能性があります。3年以下の懲役または30万円以下の罰金などが定められている重い罪です。
実際に、公共施設の階段の手すりを削ったり、タイルを割ったりして書類送検される事例も発生しています。故意に傷つけるつもりがなくても、繰り返し技をかけることで摩耗や破損が生じれば、損害賠償請求の対象にもなり得ます。
ー警察に注意された際、どう対応したらいいでしょうか
まずは感情的にならず、素直に指導に従うことが最善です。Aさんのように「納得がいかない」と反論したり、無視して逃げたりすることは避けてください。
強引な態度を取ると「公務執行妨害」とみなされたり、身元確認のために警察署まで同行を求められたりすることもあります。注意を受けた場所が禁止区域であることを認識し、まずは速やかに機体を降りて立ち去ることが、トラブルを最小限に抑える唯一の方法です。
◆北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)























