契約を申し出たら重い発言を連発する精霊 ©Tsumikidou/SQUARE ENIX
契約を申し出たら重い発言を連発する精霊 ©Tsumikidou/SQUARE ENIX

ファンタジー系の物語やRPGに登場する勇者といえば、魔物たちを切り裂く“最強の剣”を入手して魔王を倒すのが定番のストーリーです。時には、剣に精霊が宿っていたり、擬人化したりするパターンもありますが、もしその精霊が“ツンデレ”だった場合、どのような展開になるのでしょうか。

漫画家のつみきどうさんによる読切作品『聖剣ちゃんはこじらせている』は、冒険者が伝説の聖剣と契約するために苦労する様子が描かれた一作。つみきどうさんのX(旧Twitter)に投稿されると、1.2万もの「いいね」が寄せられています。

“伝説の聖剣”の噂だけを頼りに探し続けた結果、ようやく見つけることに成功した冒険者・アルバ。その聖剣とは遥か昔、女神によって生み出されたといわれる7本の特別な剣で、それらと契約した人間は世界を変える力を持つとされるといわれていました。そして、それらの剣には精霊が宿っているのです。

そんな聖剣をアルバが手に取ろうとしたその瞬間、聖剣は突然光り輝き、美しい女性へと姿を変えます。この女性が聖剣に宿る精霊だと悟ったアルバは「俺と契約してくれ」と申し出たところ、「どうせ他の武器にも同じこと言ってるんでしょ…」「どうせアンタも私の刀身(カラダ)が目当てなんでしょ!!」と“ツンデレ発言”を連発するのでした。

感情の起伏が激しい精霊を落ち着かせようと、アルバが言葉をかけようとした時、アルバの背後に大きな爆発が発生。精霊の一振りによる攻撃でした。さらに「『闇』の聖剣 リタ・オスクリオ様よ」「言っとくけどアタシ 人間が大嫌いなの」と宣告します。

続けてアルバを帰らせるような発言を重ねたものの、オスクリオの両肩をつかんで「すごいな!アンタ」と伝え、彼女の力に感動した様子のアルバ。これに対してオスクリオは「褒められちゃった…」と喜びの表情を浮かべます。しかしその次の瞬間、我に返ったオスクリオは「これがお前のやり方かー」と破壊行動を繰り返すのでした。

その後、アルバはオスクリオに「契約して何をするつもりなの?」と聞かれ、嘘をつけないアルバは「強くなりたいんだ」と正直に打ち明けます。するとオスクリオは「やっぱり帰って」とアルバの申し出を一蹴。その後、拒否の姿勢を崩さないオスクリオに対してアルバが食い下がっていると、そこに魔物が現れます。

このままでは魔物に殺されてしまうと考えたアルバは、オスクリオに契約を迫るも彼女は依然として拒否の姿勢を崩しません。オスクリオは過去に持ち主に捨てられてしまった記憶があり、「アンタたち人間はアタシを捨てたじゃない…こんなところに……100年も」と涙を流します。

するとアルバは、勝てるはずもない魔物に対して単身で挑みはじめます。彼が魔物を引きつけているうちに、オスクリオをここから逃がす作戦を決行したのです。それでもオスクリオは、過去に自身を捨てた人間と同じように「強くなりたい」と言ったアルバを信じられません。その時、アルバは「俺も」「ずっと一人ぼっちだった」と叫びます。

彼は幼い頃、魔物に襲われてしまい住んでいた村が壊滅し、1人生き残った経験があったのです。そんな背景からオスクリオに対して「もう俺みたいな一人ぼっちを増やしたくねーんだ!!」と本音を伝えます。

アルバの言葉を聞いたオスクリオはアルバの額から流れる血を舐め、「アンタのためじゃないんだからね」と言い訳をしつつも契約を結びます。途端にアルバは大きな剣を手にして、一振りで魔物を退治するのでした。

その後、「勘違いしないでよね」と照れ隠しの言葉を述べるオスクリオ。そんななか、アルバは「これからよろしくな」「頑張ろうぜ 一緒に」と手を差し出します。そして、オスクリオは「他の武器にもそんなこと言ってるんでしょ?」と前置きをしつつも、満面の笑みを浮かべて「でも 今回は信じてあげる」と手を握り返してくれるのでした。

読者からは「王道なツンデレだけど、惹かれる魅力がある」などの反響が。そこで作者のつみきどうさんに、同作について話を聞きました。

■「出オチ系なので他の肉付けに苦労しました」

-『聖剣ちゃんはこじらせている』を描いた経緯を教えてください。

基本的に漫画は最初のインパクトを重視するので、勇者が聖剣を引き抜くシチュエーションってあるよな→その聖剣が喋ってめんどくさいこと言ったら面白いしびっくりするよな~。描いてみるか~という感じです。出オチ系なので他の肉付けに苦労しました。

-同作の中で、特にお気に入りの場面があれば、理由と一緒にお聞かせください。

最初の「どうせ他の武器にも同じこと言ってるんでしょ?」と契約してくれるシーンです。どうせ~のところはこの漫画を示すシーンなのと、契約してくれるシーンはいい顔が描けたからです。

-読者から寄せられた印象的な反響があればぜひ教えてください。

印象的というものに適切かはわかりませんが、読み切りの目的としてとりあえずリタが魅力的に思ってくれればそれだけでいいと思って描いていたので、ちゃんとリタに対してみんなポジティブに思ってくれてよかったです。

また、『聖剣ちゃんはこじらせている』」はパワーアップして、少年ガンガン7月号(6月12日発売)にて連載スタートします!連載版もぜひ読んでください!

(海川 まこと/漫画収集家)