日本のハイブリッド比率は非常に高い。中でも電気自動車(BEV)やPHEV(プラグインハイブリッド)、ハイブリッドなどの電動車比率は2024年の新車販売時に約60%となった。今後、電動車比率はより高まると見込まれている。
2代目ヴェゼル(RV系)は販売比率の多くをハイブリッド車が占めている。2024年度の登録車新車販売台数ランキングでは13位。フリードに次いで、ホンダ車で2番目に売れているモデルだ。
ヴェゼル(RV系)の新車価格はやや高めの傾向にある。一方、3代目エクストレイル(T32型)の中古車価格は4代目エクストレイル(T33型)の登場によって下がってきている。結果、新車2代目ヴェゼル(RV系)と中古車3代目エクストレイル(T32型)の価格帯が同等程度になっているのだ。3代目T32型エクストレイルは、ヴェゼルよりもボディサイズがひと回り以上大きい。
本記事では新車2代目ヴェゼル(RV系)と中古車3代目エクストレイル(T32型)の燃費性能、価格、機能、デザインを徹底比較した。
■ヴェゼルはホンダの新車販売を支えるコアモデルの1つ
▽2代目ヴェセル(RV系)の特徴
2021年4月に販売開始されたホンダ ヴェセル(RV系)は、ホンダ独自のM・M(マン・マキシマム/メカ・ミニマム)思想に基づくセンタータンクレイアウトを採用している。これは「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」という考え方をもとにしたパッケージングで、高効率な室内空間を実現しているのが特徴だ。
パワートレインは2種類。1.5L直列4気筒ガソリンエンジン+CVTと、e:HEV(イーエイチイーブイ)というホンダ独自の2モーターハイブリッドシステムだ。駆動方式は1.5Lガソリン車は4WDのみ、ハイブリッド車は2WDと4WDを選ぶことができる。
運転支援機能は、最新の安全運転支援システム「ホンダセンシング」を全車に搭載した。アダプティブクルーズコントロール(渋滞追従機能付)や、後方誤発進抑制機能、近距離衝突軽減ブレーキ、オートハイビームなど多くの機能が装備されている。
さらにコネクテッドサービスとして、コネクテッド技術を搭載した車載通信モジュール「ホンダコネクト」を通じて、24時間対応のサポートや車両管理機能を提供する「ホンダ トータルケア プレミアム」を利用できる点も見逃せない。
■エクストレイルは運転支援機能が2017年に
▽3代目エクストレイル(T32型)特徴
3代目にあたるT32型エクストレイルは2013年から2022年まで販売された。
従来の直線的で無骨な外観デザインから一転、曲線を多用したモダンなスタイルへと刷新された。さらに5人乗り仕様に加え、3列シート7人乗りモデルも設定されているのが特徴だ。
搭載するパワートレインは2種類。2.0L直4自然吸気エンジン+CVTと、1モーター2クラッチという独自のハイブリッドシステムを採用したハイブリッドシステムだ。駆動方式は2WD(FF)に加えて、「インテリジェント4×4」という4WDシステムを設定した。
この4WDシステムには、「アクティブライドコントロール」などの新しい電子デバイスが搭載されている。この機能は車輪速を検知し車両の上下動を予測して、エンジンやブレーキ制御などを行い、姿勢変動を抑えてくれる。
2017年6月にはマイナーチェンジを実施した。内外装の変更とともに、高速道路での運転を支援する「プロパイロット」や駐車支援システムの「インテリジェントパーキングアシスト」などの機能が追加・強化され、安全性能が大きく向上している。
■燃費はハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載するヴェゼルの圧勝
▽1.燃費性能
・新車ホンダ ヴェゼル(RV系)の評価は4.5
・中古車日産エクストレイル(T32型)の評価は3.5
ヴェゼル(RV系)の燃費(WLTCモード)は下記の通り。
【1.5Lエンジンハイブリッド】
・2WD:25.2~26.0km/L
・4WD:21.2~21.5km/L
【1.5Lエンジン】
・2WD:-
・4WD:15.0km/L
エクストレイル(T32型)の燃費は下記の通り。
【2.0Lエンジンハイブリッド】
・2WD:15.0km/L
・4WD:13.8km/L
【2.0Lエンジン】
・2WD:12.8~13.2km/L
・4WD:12.2~12.6km/L
排気量にしてもボディサイズにしても、エクストレイル(T32型)はヴェゼルより大きく、エンジンも0.5L大きい。必然的に、ヴェゼル(RV系)の方が軽量でコンパクトな分、燃費性能では圧倒的な優位に立っている。
特にエクストレイル(T32型)の2.0Lハイブリッドは、搭載するモーターの出力が控えめであることもあり、2.0Lガソリンエンジンより少し燃費がよい程度にとどまる。その点、最新のハイブリッドシステムである「e:HEV」を搭載するヴェゼル(RV系)には敵わない。
■新車時価格の高い T32型エクストレイルのほうが快適装備は充実
▽2.価格比較
・新車ホンダ ヴェゼル(RV系)の評価は3.5
・中古車日産エクストレイル(T32型)の評価は4.0
※中古車相場は、2025年7月調べ
ヴェゼル(RV系)の量販グレード新車価格と、エクストレイル(T32型)の最量販グレー中古車相場を比較したのが下記の表だ。
【ヴェゼル(RV系) e:HEV Z 2WD】
・新車価格:319万8800円
【エクストレイル(T32型)2.0Xiハイブリッド 2WD】
・中古車相場(2020年式):約160万円~240万円
ヴェゼル(RV系)e:HEV Zグレードは上級グレードということもあり装備は非常に充実している。その分、新車価格はやや高めに設定されている。
一方、3代目エクストレイル(T32型)2.0Xiハイブリッドの2WD中古車相場(2020年式)は下落傾向にある。これは後継車である新型エクストレイル(T33型)が登場した影響によるものだ。2020年式の20Xi ハイブリッド(2WD)であれば、おおよそ160万~240万円と、ヴェゼル e:H Zに比べて80万~160万円ほど安価に手に入る。
中古であることを考慮しても、T32型エクストレイルのハイブリッド車は価格面でのバリュー感が非常に高い。
エクストレイル(T32型)ハイブリッド車の中でも、特に流通台数の多いのが「2.0Xi」グレードだ。LEDヘッドランプをはじめ、防水フロア&シート表皮、運転席・助手席パワーシート、クイックコンフォートシートヒーターなど、快適装備が充実している点が魅力である。
シートヒーター機能は、ヴェゼル(RV系)4WD車であれば全車に標準装備されている。一方で運転席・助手席パワーシートは、どのグレードにも設定はない。また、防水加工のシートは、e:HEV X HuNTパッケージのみ標準装備だが、防水フロアではない。この点は、もともと新車価格の高いエクストレイル(T32型)のほうが有利だ。
ナビゲーションについては、RV系ヴェゼルのe:HEV Z PLaYパッケージのみ標準装備となるが、T32型エクストレイルは全車オプションとなっている。しかし流通している中古車のほとんどがナビゲーションを装着しているので、互角と言える。
運転支援機能は、T32型エクストレイルが2020年1月の一部改良でミリ波レーダーを採用し、システム全体の性能を大幅に向上している。中古車としては十分に納得できるレベルといえるだろう。
■値引きが徐々に拡大中のヴェゼル
▽3.購入時の値引き術
・新車ホンダ ヴェゼル(RV系)の評価は4.0
・中古車日産エクストレイル(T32型)の評価は3.0
ヴェゼル(RV系)は2021年に登場したモデルで、2025年8月現在はモデル後期に差し掛かりつつある。これに伴い、新車の値引き幅も徐々に拡大してきている。2025年7月時点での新車値引き額は、おおよそ20~25万円程度とみられている。商談次第では、30万円超えも期待できる状況だ。より大幅な値引きを狙う場合は、トヨタ ヤリスクロスなどの競合車種としっかり比較・対抗させることが重要だ。
一方、エクストレイル(T32型)は中古車としての流通となるため値引きはゼロベースと考えておいたほうが良い。現在は中古車も「総額表示」が主流となっており、店舗間の価格競争が非常に激しいく、値引き余地が小さいのが現状だ。むしろ、極端に大きな値引き提示があった車両状態や履歴に問題がないか慎重に確認する必要がある。
そのため、中古車購入時の交渉では、現金値引きよりも「ボディコーティング」「ドラレコ」などの用品サービスを無償で付けてもらうよう働きかけるのが現実的で効果的な手段といえる。
■都会的でスポーティなヴェゼルとタフネスさを強調するエクストレイル
▽4.デザイン比較
・新車ホンダ ヴェゼル(RV系)の評価は4.0
・中古車日産エクストレイル(T32型)の評価は3.5
<ヴェゼル:オン・オフどちらでも映える、スポーティなクーペスタイル>
ヴェゼル(RV系)は、SUVらしい力強さとクーペスタイルの美しさを融合させたデザインが特徴だ。爽快感とゆとりを生む高効率なパッケージングも追求されている。
デザイン面では、初代モデルよりもフロントピラーを後退させることで、ドライバーの視野をよりワイドに確保した。さらに、ボンネットフードからドアのショルダーラインへの流れを滑らかにし、ドアミラーをドアのアウターパネルに装着する構造を採用している。これにより、ピラーとミラーの間に適度な隙間ができ、その隙間から歩行者や障害物を視認しやすくするなり、コーナーでの視界が向上している。
また、フロントワイパーをフード下に隠すことで視覚的なノイズを排除し、抜け感のある爽快な視界を実現。運転中の安心感にも貢献している。
室内空間においても改良が加えられており、2代目ヴェゼルでは高効率なパッケージによって後席の足元空間が先代比で35mm拡大させている。さらに「下見切りドア開口」構造を採用することで、ドアを開けた際のボディの出っ張りを抑え、乗り降りのしやすさも向上。日常使いでの実用性にも優れた設計となっている。
<エクストレイル:歴代モデルで初めて曲線を多用した外観デザインを採用した意欲作>
エクストレイル(T32型)は、「アウトドアスポーツのために進化し続ける本格AdvancedGear」をコンセプトに開発されたモデルだ。「ガンガン使い倒すギア」としての世界観を受け継ぎつつ、グローバル市場での競合車に負けない高い競争力を持つ最強のSUVとして開発された。
エクストレイルのDNAであるタフさを継承しながら、デザイン面では先進性を取り入れてアップデート。高い機能性を内包するスタンスの良さ、シャープなラインと緻密な面校正により、ダイナミックで存在感あるSUV像が表現されている。
歴代のエクストレイルは直線基調の無骨なデザインが特徴だったが、T32型では2007年から販売されていたデュアリスとモデル統合されたことにより、曲線を多用したモダンな外観へと路線が転換された。
2017年のマイナーチェンジでは内外装が変更され、当時の日産デザインの象徴である「Vモーション」を拡大。グリルからエンジンフードへと続くキャラクターラインも強調され、より力強くタフな印象を強めている。
両車のデザイン方針は明確に異なっている。都会的でスポーティなスタイルを好むならヴェゼル(RV系)、アウトドアで映えるタフネスな雰囲気を求めるならエクストレイル(T32型)という選択になるだろう。
■単純な大きさならエクストレイル(T32型)が優位だが…
▽5.室内空間と使い勝手
・新車ホンダ ヴェゼル(RV系)の評価は4.5
・中古車日産エクストレイル(T32型)の評価は4.0
ヴェゼル(RV系)とエクストレイル(T32型)のボディサイズ・室内サイズ・荷室容量を比較した。
【ヴェゼル(RV系)】
・ボディサイズ:全長4340mm×全幅1790mm×全高1580~1590mm
・ホイールベース:2610mm
・室内サイズ:室内長2020mm×室内幅1445mm×室内高1225mm
・荷室容量:404L
【エクストレイル(T32型)】
・ボディサイズ:全長4690mm×全幅1820mm×全高1730mm
・ホイールベース:2705mm
・室内サイズ:室内長2050mm×室内幅1535mm×室内高1270mm
・荷室容量:445/565L
ヴェゼル(RV系)とエクストレイル(T32型)は、ボディサイズに大きな違いがある。エクストレイル(T32型)はヴェゼルよりも1クラス以上大きく、より余裕のあるサイズ感が特徴だ。またエクストレイル(T32型)は、5人乗りの2列シート仕様に加え、ガソリン車には7人乗りの3列シート仕様も設定されており、用途に応じた選択肢が広いのも魅力となっている。
カタログスペック上では、室内長はエクストレイル(T32型)のほうが30mmだけ長い。ただし、ヴェゼルはセンタータンクレイアウトを採用しており、先代から後席の足元空間を35mm拡大するなど、限られたボディサイズの中でも効率的なパッケージングが追求されている。その結果、後席座面の跳ね上げが可能となっており、背の高い鉢植えのような荷物も縦に積載できる。このような使い勝手の良さは、ヴェゼルならではの魅力といえるだろう。
ラゲッジルームの容量は、ヴェゼル(RV系)が404L、エクストレイル(T32型)は3列シート車で445L、2列シートで565Lとなっている。ボディサイズの違いに比例して、荷室の広さもエクストレイルのほうが明確に勝っている。ただし、ヴェゼルも同クラスのSUVとしてはトップレベルの荷室容量を誇っており、実用性の高さでは引けを取らない。
■中古車とはいえ、2020年式以降のT32型エクストレイルは文句なし
▽6.安全装備&運転支援機能の比較
・新車ホンダ ヴェゼル(RV系)の評価は4.0
・中古車日産エクストレイル(T32型)の評価は3.5
ヴェゼル(RV系)は、2021年に登場した比較的新しいモデルであることから、運転支援機能を含む予防安全装備が非常に充実しており、国産コンパクトSUVの中でもトップクラスのレベルにある。
ホンダ独自の運転支援システム「ホンダセンシング」は、高性能な単眼カメラを採用。衝突軽減ブレーキ(CMBS)や前後方向の誤発進抑制機能、渋滞追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)など、9つの機能をパッケージ化されている。
さらに、2024年のマイナーチェンジでは以下機能の性能が向上。
・衝突軽減ブレーキ(CMBS)
・路外逸脱抑制機能
・渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)
・車線維持支援システム(LKAS)
また、新機能として以下が追加された。
・トラフィックジャムアシスト(渋滞運転支援機能)
・急アクセル抑制機能
・アダプティブドライビングビーム
対するエクストレイル(T32型)は2015年の一部改良で、自動ブレーキ(エマージェンシーブレーキ)を全グレードに標準装備。2017年のマイナーチェンジでは、高速道路走行時に、アクセル・ブレーキ・ステアリングの操作を自動制御する「プロパイロット」が搭載された。
さらに2020年の一部改良では、これまでの単眼カメラに加えてミリ波レーダーを新たに採用し、運転支援機能の精度が大幅に向上。夜間の視認性も高まり、衝突回避支援機能「インテリジェント エマージェンシーブレーキ」や、プロパイロットの制御性能も向上している。
また、「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」は、新たに全車標準装備している。前方を走行する2台前の車両を検知し、自車の回避操作が必要と判断した場合には、警報によってドライバーに注意を促す機能だ。この「インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)」は日産独自の機能で非常に効果が大きいので、高評価としたい。
予防安全装備は技術革新が著しい分野であるため、エクストレイル(T32型)の中古車を選ぶ際には、2020年の一部改良後モデルを選ぶと、より安心して運転できるだろう。
■街乗り中心ならヴェゼル。オフロードも走行するならエクストレイル
▽7.走行性能の比較
・新車ホンダ ヴェゼル(RV系)の評価は4.0
・中古車日産エクストレイル(T32型)の評価は3.5
ヴェゼル(RV系)とエクストレイル(T32型)のパワートレインのスペックは以下のとおり。
【ヴェセル(RV系)1.5Lハイブリッド】
・最高出力106ps、最大トルク127N・m
・モーター最高出力131ps、最大トルク253N・m
【ヴェセル(RV系)1.5L直列4気筒DOHCエンジン】
・最高出力118ps、最大トルク142N・m
【エクストレイル(T32型)2.0Lハイブリッド】
・最高出力147ps、最大トルク207N・m
・フロントモーター最高出力41ps、最大トルク160N・m
【エクストレイル(T32型)2.0L直4エンジン】
・最高出力147ps、最大トルク207N・m
<ヴェゼル:クラストップレベルの質の高い走りを実現>
ヴェゼル(RV系)の1.5Lハイブリッド「e:HEV」は、基本的にエンジンで発電し、モーターで走行するシリーズハイブリッドシステム方式を採用している。モーターの最大トルクは253Nmと非常に高く、日常走行では常に力強い加速を体感できる。また急激なトルク変化を抑える制御がなされており、ガソリン車日会自然な加速感も魅力となっている。
一方で1.5Lガソリンエンジンモデルは最高出力118ps、最大トルク142Nmを発揮。必要十分なパワーを持ち、街中走行では不満を感じることが少ない。だが、急な上り坂などでやや力不足に感じる場面もある。
走行性能の面では、2024年の一部改良で2WDのハイブリッドモデルの制御最適化や、サスペンションのダンパー減衰力の見直しなどが実施されており、乗り味にさらなる磨きがかかっている。実際に走行してみると、ハンドリングの精度や静粛性は従来よりも明らかに向上しており、ワインディングの下り坂でも思い通りのラインをトレースできる感覚が得られる。まるで自分のドライビングスキルが向上したかのように感じられる仕上がりだ。
高速道路では、ホンダセンシングの「全車速追従式クルーズコントロール」を作動させて走行。先行車との追従や再加速のタイミングもドライバーの感覚に近づいており、安心感が高まっている。また、EV走行領域が広がったことで、実用燃費の向上にも繋がっている。
<エクストレイル:質の高い4WD制御により、どんな路面状況でも抜群の安定感を発揮>
エクストレイル(T32型)4WD車は、質の高い電子制御システムによって、どんな路面状況でも安定した走行性能を実現している。中でも「インテリジェントライドコントロール」は、エンジンやブレーキの制御を通じて、路面状況に応じた乗り心地と安定性を自動的に向上させるシステムだ。
また、「インテリジェントエンジンブレーキ」は、コーナリング時や減速時にエンジンブレーキを適切に作動させることで、ドライバーの負担を軽減し、スムーズな挙動を実現している。
4WDシステムには「インテリジェント4×4」を採用。走行中の路面状況や車両挙動に応じて、コンピューターが前後のトルク配分を100:0から約50:50まで瞬時に切り替え、滑りやすい路面でも高いトラクション性能を発揮する。4WDシステムは軽量化も図られており、4WDによる燃費悪化を最小限に抑えている点も魅力のひとつだ。
「インテリジェント4×4」は、ドライビングの楽しさよりも安定性を優先した制御が特徴。タイヤを意図的に滑らせて走行を楽しむような4WDとは異なり、滑らせないことを最優先に設計されている。万が一スリップした場合でも、瞬時にグリップを回復するように制御が働くため、運転に不慣れな人でも安心して雪道やぬかるんだ道を走行できる、信頼性の高いシステムと言える。
走りの質感では新しいヴェゼルが優位。悪路走破性ではエクストレイルに軍配
両車のハイブリッドモデルを比較すると、走りの質感、すなわち加速の滑らかさや静粛性、ハンドリングといった面では、設計の新しいヴェゼル(RV系)が一歩リードしている印象だ。クラスが異なるため一概には比べにくいが、日常走行の快適性という点ではヴェゼルが優位に立つ。
一方で、悪路走破性ではエクストレイル(T32型)がやや優勢と見られる。ヴェゼル(RV系)4WD車の最低地上高は170~180mmであるのに対し、エクストレイル(T32型)は200~205mmと、約20~35mmの差がある。この最低地上高の差はぬかるみや雪道、未舗装路といった悪路を走行する際に、下回りの干渉リスクや通過性能に直接関係してくる。
もちろん、悪路走破性は最低地上高だけでは判断できないが、アウトドアシーンや積雪地帯での使用を想定するなら、エクストレイルの方が安心感があると言えるだろう。
■新車メリットの大きいヴェゼル、今が買い時のエクストレイル
▽8.リセールバリュー比較
・新車ホンダ ヴェゼル(RV系)の評価は4.5
・中古車日産エクストレイル(T32型)の評価は3.5
*中古車相場は2025年7月調べ
【ヴェゼル(RV系)】
・e:HEV Z FF中古車相場(2021年式):約230~300万円
・当時の新車価格比:約79~103%
【エクストレイル(T32型)】
・20Xiハイブリッド4WD中古車相場(2021年式):約210~270万円
・当時の新車価格比:約58~75%
2021年式の中古車相場を当時の新車価格と比較すると、ヴェゼル(RV系)は非常に高いリセールバリューを維持している。中には、オプション装着車とはいえ、新車価格を上回る価格で流通しているケースもあり、驚かされる。ヴェゼルは現行モデルということもあり、資産価値が落ちにくいモデルであることがわかる。短期的な乗り換えを想定しているのであれば、高リセールは大きなメリットになる。
ただし、2021年式の中古車で新車価格比が約90%を超えるような車両は、コストパフォーマンス的にお勧めしにくい。というのも、2024年のマイナーチェンジで装備がアップデートされた改良モデルが新車で購入可能であり、交渉次第では30万円以上の値引きも狙えるためだ。長期的な所有を考えた場合、新車での購入のほうが結果的にメリットが大きい可能性がある。
エクストレイル(T32型)は、後継のT33型が登場したことで、中古相場が大きく下落。新車時の価格に対して割安感があり、今が買い時といえる。リセールバリューは今後徐々に下がっていくと見られるが、そもそもの車両価格が安価になっているため、一定期間の所有で損をするリスクは小さいと考えられる。
■高リセールバリューでメリット大のヴェゼル。中古車らしい高コスパのエクストレイル
▽9.まとめ・総合評価
【ヴェゼル(RV系)が合う人のポイント】
・都会派SUVが好き
・燃費性能重視
・高いレベルの予防安全装備が欲しい
・乗り心地や静粛性など、走りの質感重視
・高いリセールバリューが重要
【エクストレイル(T32型)が合う人のポイント】
・コスパに優れたSUVが欲しい
・なるべく車体の大きいSUVが欲しい
・7人乗りモデルも気になる
・悪路走破性も捨てがたい
(まいどなニュース/norico)