ゴミ拾いをライフワークとする“リアルライフヒーロー”、スミレンジャーZさん(スミレンジャーZさん提供、Xよりキャプチャ撮影)
ゴミ拾いをライフワークとする“リアルライフヒーロー”、スミレンジャーZさん(スミレンジャーZさん提供、Xよりキャプチャ撮影)

連休でにぎわった渋谷の街が、一夜にしてゴミの山と化しました。空き缶、ペットボトル、食べ残しの容器…。散乱する光景に、SNSでは「シンガポールより汚い」と驚きや嘆きの声が相次ぎました。

そんな渋谷の現実と8年間向き合い続けている人物がいます。ゴミ拾いをライフワークとする“リアルライフヒーロー”、スミレンジャーZ(愛称スミレちゃん)さん(@iijNWqUQ7i41630)です。

「渋谷でのゴミ拾いはいつも悔しさと悲しさでいっぱい。8年近く戦っていると何も驚かなくなります」

そう語るスミレさんの投稿は大きな反響を呼び、罰則強化や行政の責任を求める声も広がっています。

■「予感は的中」3連休後の渋谷に広がった光景

三連休の渋谷はお祭りの影響で人であふれ、「嫌な予感はしていた」といいます。実際に現地を訪れると、予想通り至る所に空き缶やペットボトルが散乱。「両手で数えられないほどのポイ捨てスポット」が広がっていました。

「長年やっていると、どこにゴミがたまるか見えてきます。残念ですが、ほぼ全部的中しました」と振り返ります。

■「取り組む姿勢」はあるが「根本解決」がない

スミレさんが抱く「悔しさと悲しさ」は、単に街が汚れていることではありません。「渋谷区はイベントやPRで“きれいな渋谷”を掲げていますが、ポイ捨て自体は全然減っていない。清掃はされても、それまではゴミだらけのまま。根本解決には消極的に感じます」

実際、罰則は「ポイ捨て2000円」とあるものの取り締まりの実態は乏しく、「この金額では抑止力にならない」と指摘。SNSでも「シンガポールのように罰金制度を」との声が相次ぎました。

■ボランティアだからこそできること

一方で「ボランティアだからこそできる役割がある」とも語ります。

「行政は有権者の声を重視します。だからこそSNSで声を集め、無視できない母数を届けるのが自分の役割だと思っています」

活動中には「ありがとう」「正義の味方だ!」と声をかけてくれる子どもも。批判の声もあるといいますが、「応援の言葉の方が圧倒的に力になる」と笑顔を見せます。

■原動力は「ありがとう」

スミレさんは鬱病と発達障害を抱えながらも活動を続け、現在は「上級メンタル心理カウンセラー」の資格取得も目指しています。

「原動力はやっぱり『ありがとう』です。お金ではなく感謝を力にして、これからも続けていきたい」

渋谷の街で拾われたひとつひとつのゴミ。その背後には、変わらぬ現実に挑み続ける“ヒーロー”の思いが込められています。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)