20代のAさんには、付き合って1年になる彼氏がいます。彼は友達が多く、いつも何をしているのか気になっていたAさんは、彼が出かける度に「どこに行くのか」「誰と行くのか」などあれこれ聞いていました。そんなある日、いつものように出かける彼に話を聞いていると、彼から「それ重い」と言われてしまいます。
それからというもの、彼はAさんに何も言わず出かけるようになってしまいました。Aさんはもう愛想を尽かされてしまったのでしょうか。恋愛心理学者の吉野麻衣子さんに話を聞きました。
■終わりではなく「始まり」の合図
ーAさんと彼氏は関係を改善できる見込みはありますか?
「重い」という言葉は必ずしも関係の終わりを告げるものではありません。むしろ、これまで見て見ぬふりをしてきた2人のすれ違いを乗り越え、もっと深く、心地よい関係を築くための大切な「きっかけ」になります。
彼を責めたい気持ちを少しだけ横に置いて、彼の心の中を想像してみましょう。男性が「重い」と感じる背景には、いくつかの共通した心理があります。
本音1:自分だけの時間や空間を守りたい
友達と過ごす時間や趣味に没頭する時間は、自分らしさを取り戻すための大切なものです。
また、男性脳は、女性脳と違い、誰かと話してストレスを発散したり思考整理するのではなく、一人だけの静かな時間で思考の整理をしたり、精神を整えたり、リラックスをする時間は彼にとって非常に重要なものです。
彼は自分の時間を失われたとこで、少し息苦しくなってしまったのかもしれません。
本音2:「信じてくれていないのかな」という寂しさ
「どこ行くの?」「誰と?」という問いかけは、時に「あなたのことを信用していません」というメッセージとして彼に届いてしまうことがあります。Aさんに悪気がないことは分かっていても、「行動を監視されている」と感じると、男性はプライドが傷つき、寂しさを覚えてしまうのです。
本音3:不満を溜め込んだ末の「SOS」
感じた不満をすぐに言葉にすることに対し、相手を傷つけまいとし、口にすることを避ける方も少なくありません。最終的に小さな違和感を心の中に溜め込み、我慢の限界が来た瞬間に、思わず「重い」という強い言葉として飛び出してしまった可能性があります。
これは、よく女性でも「あの時、あなたはああだった」「この時もこうだった」とついつい、我慢してしまった事が蓄積され、後々、彼に対して言ってしまうのと似たような原理ですね。
ーもし改善できるとしたら、具体的にどうしたらいいでしょうか?
彼の気持ちが少し理解できたら、次はいよいよ行動です。焦りは禁物。一つずつ丁寧に関係を修復していきましょう。
ステップ1:まずは「そっとしておく時間」をつくる
彼が出かけてしまった今、焦って「さっきはごめんね!」と何度もLINEを送るのは、まずは避けたい行動です。彼とあなた自身に、冷静になるための「そっとしておく時間」を贈りましょう。彼が帰ってきたら、「おかえり」と笑顔で普段通りに迎えるのが理想です。
ステップ2:「私」を主語に、素直な気持ちを伝えてみる
食事後のデザートタイムなど、セロトニンが出てリラックスできる話し合いの準備ができたら、彼を責めるのではなく、「私」を主語にして「自分は何に対してどの様に感じ、実はどうして欲しかったのか」あなたの気持ちを伝えて、また、相手が気持ちを丁寧に話しやすくなる様な柔らかい雰囲気を作りながら、尋ねてみましょう。
ステップ3:行動で「信頼」を伝える
言葉だけでなく、これからの行動であなたの気持ちを見せていくことが大切です。
例えば、彼が出かける時、「楽しんできてね!」と笑顔で送り出してみたり、彼が帰ってきた時、「おかえり!」と笑顔で迎え、彼のペースを尊重してみます。
こうした小さな変化は、「私はあなたを信頼しています」という、静かで力強いメッセージになります。
ステップ4:「自分の世界」に目を向けてみる
彼の予定が気になってしまうのは、もしかしたらあなたの生活が「彼中心」になっているサインかもしれません。彼が自分の時間を大切にするように、あなたも自分の世界を広げてみませんか。例えば、 しばらく会っていなかった友達とカフェに行ったり、新しい趣味や習い事を始めてみたり。
ステップ5:心地よい「二人の約束」をつくる
お互いが我慢するのではなく、二人が心地よくいられる着地点を見つけましょう。例えば、 「もし泊まりになる時があれば、教えてくれると嬉しい」「心配だから、『今から帰るよ』って連絡をくれると、すごく安心する」など、最低限これだけは、という約束を一緒に作ってみるのもおすすめです。これは束縛ではなく、お互いを思いやるための「二人のための約束」です。
彼の自由を尊重し、同時にあなた自身の時間も大切にする。そうして生まれた心地よい距離感は、二人の信頼関係をより一層強くし、揺るぎない絆を育ててくれるはずです。
◆吉野麻衣子(よしの・まいこ)恋愛婚活心理学者
恋愛婚活心理学者、心理カウンセラー、臨床心理療法士であり、誰もが「離婚しない幸せな結婚」が出来る様、戦略的に婚活をサポート、高い成婚率で多くの婚活成功者を輩出している株式会社SMART BRIDALの代表取締役社長を務める。Domani、ゼクシィなど女性誌へ多数執筆。ミセスコンテスト日本人初世界大会優勝者としてモデル活動も行いながら、全国の独身男女の人生設計をトータルサポート中。
(まいどなニュース特約・長澤 芳子)