かつてよく登った摩耶山への登山口で子どもの頃を振り返る筆者。仕事で神戸に来るようになり、変わらない穏やかな山の姿を見るたび、つくづく故郷があってよかったと感じる=神戸市灘区原田(撮影・長嶺麻子)
かつてよく登った摩耶山への登山口で子どもの頃を振り返る筆者。仕事で神戸に来るようになり、変わらない穏やかな山の姿を見るたび、つくづく故郷があってよかったと感じる=神戸市灘区原田(撮影・長嶺麻子)

 2015年1月、62歳で退官した。その直後はだいぶ疲れていて何もしたくない気分だった。ただこの気持ちをストレートに出すと、理解する感受性のない人もいたりして、政府のしかるべきポストを狙っているなどと見当外れの推測をされかねない。いちいち説明するのも面倒くさいので、しばらくは人前にあまり顔を出さず、久しぶりに実家に帰ったり、過去の勤務地でお世話になった方に退職のあいさつをしたりして過ごした。