現存する拓本の中で最も古い時代の唐代の拓本、すなわち唐拓「温泉銘」は現在、パリのフランス国立図書館に所蔵されている。なぜここにあるのか。
この拓本は清代の光緒26(1900)年、湖北省麻城出身の道士・王円籙(おうえんろく)によって偶然、発見された。道士とは道教の僧で、彼は仏教石窟寺院の敦煌千仏洞(莫高窟(ばっこうくつ))に住みついていた。見つかった数万点の古文献は敦煌文書と呼ばれることになる。その中に唐太宗の「温泉銘」や欧陽詢(おうようじゅん)「化度寺碑(けどじひ)」、柳公権(りゅうこうけん)「金剛経」などがあった。