マガジンハウス博で展示・販売される、漫画家・宮崎夏次系さんと「TOGA」による一点物のジャケット(提供写真)
 マガジンハウス博で展示・販売される、漫画家・宮崎夏次系さんと「TOGA」による一点物のジャケット(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【10日(金)】

 ▽「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」(~12月15日、港区)

 イタリアの高級ジュエリーブランド「ブルガリ」の日本最大規模となる展覧会が、六本木の国立新美術館で開催されている。ブランドを代表する約350点の鮮やかな宝飾品を展示。

 プラチナの単色デザインが主流だった20世紀前半に、大胆な色の組み合わせを宝飾品に取り入れ、「色石の魔術師」としてブランドの名声を確立したブルガリ。その革新的な歴史と、色彩への強い探求を伝える。

 「カレイドス」はギリシャ語で「美しい(カロス)」「形態(エイドス)」を意味する。建築家の妹島和世さんらがイチョウの葉をモチーフにデザインした会場は、その言葉を連想させる幻想的な空間だ。

 ブルガリグループCEOのジャンクリストフ・ババンさんは「宝石の色と形をあらゆる角度から楽しめるように工夫を凝らした。色彩を軸に、単に美しいだけではないジュエリーの魅力を、アート、文化の相互性と共に感じてほしい」と話す。

 イタリア国外では初公開となる1940年頃製作の《ブレスレット》は、ゴールドとプラチナにダイヤモンドをあしらい、オレンジ色のシトリンがローマの夕焼けのような温かさを表現。《バングル》(54-55年)は、石の表面をドーム状にカットする技法「カボションカット」が駆使され、サファイアとルビーのコントラストが個性的な輝きを放つ。 

 中でも傑作とされる61年製のネックレス「セブン・ワンダーズ」は、七つの壮麗なエメラルドが印象的だ。イタリアの俳優モニカ・ビッティさんやジーナ・ロロブリジーダさんも愛用した。

 現代アーティストの中山晃子さんら女性アーティスト3人による、色彩をテーマにしたインスタレーションも見どころ。空間と宝石、アートが一体となった総合芸術を堪能できるだろう。

 ○そのほかのお薦めイベント

 【10日(金)】

 ▽「ラ ギャルリー デュ ディズヌフエム トーキョー」(~20日、港区、入場無料、事前予約制)

 フランスのメゾン「シャネル」の傘下にある刺しゅうやテキスタイル、羽根細工など11の工房の職人技を紹介する展覧会が、六本木の東京シティビュー・森アーツセンターギャラリーで開かれている。

 各地に散らばっていた工房を1カ所に集めて保護・継承を図るため、シャネルが2021年パリで設立した複合施設「le 19M(ル ディズヌフエム)」が主催。シャネルの衣装制作に不可欠な各工房の歴史と、高度な専門技術に焦点を当てた。

 工房で使う木製の帽子型やプリーツの型、刺しゅうの素材などを展示し、工房に足を踏み入れたかのような臨場感を演出。シャネルのコレクションを代表するツイードを制作する刺しゅう工房「ルサージュ」の創業100周年を記念し、そのアトリエを再現した空間も設けた。刺しゅう台に張り巡らされた生地や、無数のビーズ、スパンコールが並び、職人たちのものづくりの現場をうかがわせる。

 日仏の職人やアーティストがコラボした意外性のある作品の数々も紹介した。京都の老舗ちょうちん店「小嶋商店」が、帽子工房「メゾン ミッシェル」の型を使って制作したちょうちんなどを展開。異なる素材と技術を尊重し合うことで、新たな表現が生まれた。

 ブランドの製品展示にとどまらず、文化と伝統、現代の創造性に触れる貴重な機会となっている。

 ▽「シャングリ・ラ東京のクリスマスケーキ&スイーツ」(予約はオンラインで10日~12月22日、千代田区)

 「シャングリ・ラ東京」でクリスマスケーキコレクションの予約受け付けが始まる。

 ホワイトチョコレートを使って“雪の家”をかたどったビッグサイズの「クリスマスハウスケーキ」をはじめ、鮮やかなイチゴムースやティラミスでできた人気の「トレインケーキ」など限定品を含めた全13種類がそろう。

 6年ぶりにデザインをリニューアルした「ストロベリーショートケーキ」は今年の注目だ。旬のイチゴにこくのある生クリームを合わせ、軽めのスポンジにアーモンドシロップを染みこませて誰もが食べやすい甘さを追求した。ケーキを飾る、チョコでできた雪の結晶やヒイラギの葉っぱもすべて手作り。「コロナ禍が収まるなど時代の変化を感じ、定番ケーキのデザインを一新しようと、例年より早く春頃から構想していた」とペストリーシェフ入鹿貴史さんは話す。

 「大人も子どもも笑顔になってほしいとの思いで毎年取り組んでいる。クリスマスの時期こそ、おいしいケーキを味わいながら、家族の大切さを感じてもらいたい」

 ▽「80周年記念イベント マガジンハウス博“銀座から世界へ”」(10~25日、中央区、一部有料イベントあり)

 1945年の創立以来、「平凡」「anan」「POPEYE」など数々の人気雑誌を発刊してきたマガジンハウス。その80周年を祝うイベントが「Ginza Sony Park」で行われる。

 歴代雑誌の表紙を展示し、同社の雑誌文化を振り返る。各誌編集部が企画したスペースに、POPEYEのオリジナルグッズや、人気マスコット「ananパンダ」が登場。特設ステージでは作家林真理子さんらのトークショーや、若手落語家による「シティボーイ寄席」を開く。

 ファッションブランド「TOGA」は、マガジンハウスのwebマンガメディア「SHURO」で「カッパのカーティと祟りどもの愛」を連載する人気漫画家・宮崎夏次系さんとコラボ。作品を落とし込んだTシャツやトートバッグ、宮崎さんが布に描き下ろした一点物のジャケットに出合える。

 時代をリードしてきた雑誌社の世界観を、多彩なコンテンツを通して楽しめるだろう。