モデルでタレントの滝沢カレンが私小説「でかまりなちゃん」(集英社)を刊行した。みずみずしい筆致でつづった1冊は、「子ども時代の思い出を一気に詰め込んだ特大アルバムのようです」と話す。
タイトルは大好きなテレビアニメ「ちびまる子ちゃん」と自身の本名を掛け合わせた。今年、第1子出産のため休みを取った際、今は亡き祖父や祖母、母と過ごした日々を、「記憶の全てで書いてみようと思った」と29の短編集にした。
パーティーや祭りが好きな祖父は「とにかく人間が群れている場所を愛していた」。祖母は厳しくて「完と璧が結合したような人間」。自慢の母については「三六〇度優しくていつも誰かを思いやっている」と記す。
小学生時代の大イベントは、母がクレープを焼くことだった。「ママの数少ない料理の一つだから、すごく思い入れがあって、力のこもった文章になりました」と笑う。「その日にタイムスリップし、体験しながら書いた」作業は、幸せな記憶を巻き戻してくれたという。大好きだった3人とはもう会えないが「(本は)『家族は私から離れないぞ』という強いお守りのようです」。
読者には「ご自身の家族との思い出を振り返っていくきっかけにしてほしい」と期待する。「家族との物語を残しておくのはすてきなこと。(他の人の話も)ぜひ読んでみたいな」