運河と壁画「OUT OF BOUNDS」((C)Tennoz Art Festival 2019 Art Work by Meguru Yamaguchi Photo by Yusuke Suzuki)
 運河と壁画「OUT OF BOUNDS」((C)Tennoz Art Festival 2019 Art Work by Meguru Yamaguchi Photo by Yusuke Suzuki)

 羽田空港から東京モノレールで約20分、都心にもアクセスが良い東京都品川区の天王洲アイルは、江戸時代に台場が造られその後物流の拠点として発展した。近年は運河に囲まれた中に芸術作品が点在する「アートの島」として注目されている。

 りんかい線の天王洲アイル駅から海岸通りに出てボンドストリートを歩く。輸出入する際に貨物を留め置く「保税(bonded)地域」がその名の由来で、倉庫街だったが今はセンスの良いカフェなどが目立つ。視線を上げると三味線を演奏する少女の巨大壁画があった。スペイン出身のアーティストが鈴木春信の浮世絵を題材に制作した。ダイナミックだがポップな色合いが都会的で軽やかな空気を運ぶ。

 運河沿いの遊歩道「ボードウォーク」に出るとカラフルな水上ホテルやビル群の間をカモメが飛ぶのが見えた。レストランは食事を楽しむ人でにぎわう。巨大なごみ箱の作品や、広場にある人気キャラクターを連想させるオブジェ…。街中でアートと出合う体験は宝探しのようで心が躍る。

 こちらの創作意欲もかき立てられ、海岸通りの画材専門店「PIGMENT TOKYO」へ。壁一面を埋め尽くす約4500色の顔料に圧倒された。画材の相談などに応じ制作をサポート、初心者向けのワークショップも人気という。同店を運営する寺田倉庫の高木佑香奈さんは「美術館やギャラリーもある天王洲には、作品制作からその保管・移送、発表までできるアートのエコシステムがある」と話す。

 モノレールの駅東側に向かい、ホテル1階のラウンジ「The Library Lounge」で一息つくことにした。大きな窓から光が差し込む空間に約2万5千冊を収めた本棚が連なる。ビュッフェ式で飲み物や軽食を選び、窓際の席や半個室でくつろげる。ソファに体を沈めて本を開き、ちょっとぜいたくな時間を過ごすことにした。

 【メモ】「The Library-」のソフトドリンクプランは1時間1650円。