愛知県日進市の牧場や岐阜県下呂市の森がロケ地となったホラー映画「男神」の全国公開が始まった。ユーチューブで人気を博した怪談が原案。取材に応じた井上雅貴監督は、動物や自然を捉えた映像美を通じ「聖なるものが持つ畏怖」を体感できる作品を目指したと話した。
あらましはこうだ。新興住宅地の工事現場で突如、巨大な穴が見つかる。穴は「根の国」へ通じる道。そこで、巫女たちが縄文時代の荒ぶる「男神」を鎮めるため、男児をいけにえにささげる儀式が綿々と続いていた。一方、主人公の建設作業員の息子が失踪する-。
井上氏によると、日進市の関係者が出資者となり、当初「市内を舞台にしたご当地ホラー映画」として制作が始まった。工事現場や牧場は日進市で撮影し、全国公開できる水準を目指した。
自治体との連携のため、ホラーとはいえ凄惨な表現はNG。ヒントとなったのは、目に見えない自然神を崇拝する縄文時代以来のアニミズムと、真夜中にご神体を移す伊勢神宮の式年遷宮にまつわる儀式だった。