玩具花火1万2千発を打ち上げる住民手作りの花火大会が、播磨町西野添4の蓮池小学校で開かれた。小学校の保護者らが「花火師」となり、司会は地元の中高生が担当。玩具とは思えないユニークな仕掛けの花火が晩夏の夜空を彩った。(田中朋也)
地元住民らによる野添コミュニティ委員会の主催。「のぞえ花火大会」として2023年から開催し、今年で3回目。子どもの地域への愛着を育てようと、花火・玩具卸問屋「クリス」(神戸市灘区)が各地で開く「大人達が作る子ども達への花火大会」の一環で実施した。町内の中高生や自治会員ら約140人がボランティアを務め、同小の保護者でつくる「灯足(ほた)るの会」などの16人が打ち上げを担う「花火師」を務めた。
会場のグラウンドでは、事前予約の「マス席」が用意され、当日参加の自由席と合わせて約3千人が鑑賞した。冒頭、同町の佐伯謙作町長は「今年は阪神・淡路大震災から30年と戦後80年の節目の年。鎮魂の花火だと思いながら見つめたい」とあいさつ。来場者が声を合わせてカウントダウンを行い、花火の打ち上げが始まると同時に、会場は一体感に包まれた。
披露された花火は10種類。滝のように降り注ぐ「ナイアガラ花火」や、ぐるぐる回って火花を散らす「車輪花火」は、いずれも「花火師」による手作業ながら、その見栄えは迫力満点で、観客たちはスマートフォンで撮影して拍手を送るなど、思い思いの時間を楽しんだ。打ち上げ花火は、玩具とは思えぬ高さまで上がり、角度を工夫して連射するなど、仕掛けのユニークさで観客を驚かせた。
家族で訪れた鈴木千晴さん(7)は「打ち上げ花火がすごかった」。同町の小倉俊一さん(35)は「地元できれいな花火が見られて良かった」とうれしそうだった。