2月6日に開幕するミラノ・コルティナ冬季五輪で、今季限りでの引退を表明しているフィギュアスケート女子の坂本花織(25)=シスメックス、神院大出身=が3度目の大舞台に挑む。昨年末の全日本選手権では、フリーの最終組6人中4人がトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を投入する中、5連覇を達成。大技を持たない坂本には、ジャンプの難度をしのぐ勝利の鍵があった。(船曳陽子)
前回の北京五輪まで、坂本は3回転半や4回転の習得を公言してきた。それは「トリプルアクセルや4回転を跳ぶロシアの選手が出てきた時、自分には勝ち目がないと思った」から。ベストの演技をしても「大技をやっている人の失敗待ち。運が良ければ表彰台に乗れる」と考えていた。
だが、2シーズン前にグランプリファイナルで初優勝し、世界選手権3連覇も達成。2022年のウクライナ侵攻後にロシア勢が国際大会から除外されたこともあるが、「できるもののクオリティーをいかに上げるか。自分はこのやり方で振りきると決めた」と、質を極めることに注力してきた。
技術点と演技点の合計で競うフィギュアスケートで、坂本の得点源には二つの大きな柱がある。
一つは技の出来栄え点(GOE)だ。ジャンプ、ステップ、スピンには、難易度などに応じた基礎点がある。さらにジャンプの高さや幅、着氷の正確さ、スピンやステップの質などを基準にプラス5からマイナス5までで採点され、基礎点から加点または減点される。
全日本のフリーでは、3回転半と4回転トーループを入れる島田麻央(木下グループ)と、フリップ-トーループの連続3回転が最高難度の坂本には、技術点の基礎点で14・65点もの差があった。しかし、島田が4回転トーループで転倒した一方、坂本は質の高さでGOEを積み上げ、差を8・26点まで縮めた。
坂本のもう一つの柱が、構成力、表現力、スケート技術の3項目が10点満点で評価される演技点だ。持ち前のスピードでリンクを広く使った滑り、培ってきた豊かな情感などが高く評価され、表現力でジャッジ1人が10点をつけるなど、全選手で唯一3項目とも9点台をマーク。すべて7点台の島田を13・44点も上回り、フリー合計で6・18点差をつけて快勝した。
島田は年齢制限で五輪資格がないとはいえ、ショートプログラム(SP)はわずか0・10点差。二つの柱なくして坂本の5連覇はなかった。
ミラノ・コルティナ五輪には、ロシア選手権を3連覇した18歳のアデリア・ペトロシャンが個人の中立選手(AIN)として出場する。4回転とトリプルアクセルを操る強豪国の新鋭だ。
坂本はロシア選手の復帰にも「強い選手と戦えるのは燃える」と語る。目標は過去2大会を上回る団体と個人の銀メダル以上。磨き上げた完成度で世界と渡り合い、有終の美を飾る。























