オープンから10年を迎えたドナルド・マクドナルド・ハウス神戸。7年ぶりのオープンハウスには約50人が参加した=神戸市中央区港島南町1
オープンから10年を迎えたドナルド・マクドナルド・ハウス神戸。7年ぶりのオープンハウスには約50人が参加した=神戸市中央区港島南町1

 兵庫県立こども病院(神戸市中央区)に入院中の子どもとその家族を支援するため、同病院に併設されている滞在施設「ドナルド・マクドナルド・ハウス神戸(神戸ハウス)」が、オープンから丸10年を迎えた。一般にはあまり知られていないが、オープンの2016年5月から今年4月末までの10年間で、北海道から沖縄県まで延べ5631家族が利用した貴重な施設。コロナ禍を挟んで7年ぶりに「オープンハウス」として一般公開された23日、利用者に聞いた。(高田康夫)

 子どもが入院すると、家族は自宅との二重生活を送ることになり、経済的、精神的負担は大きくなる。そんな家族を少しでも支援しようと、公益財団法人「ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン」が神戸のほか、東京や大阪、福岡などでハウスを運営する。

 鳥取県の40代の女性は、長男(3)が1歳半で入院した2年前から随時利用している。小児がんの一種「胚細胞腫瘍」だった。

 「病院にいると常に気を張った状態。現状と向き合うばかりだった」。生活は不規則になり、ご飯を作る時間も、食べる余裕もなくなっていたとき、神戸ハウスでボランティアから提供されたご飯で元気を取り戻した。「食べるって大事だなあと実感した」

 病棟でほかの保護者と話しても「子どもの前でつらさは口にできない」が、神戸ハウスでは同じ境遇の母親と一緒に泣き、つながりもできた。「自分の逃げ場。心が休まる大事な施設です」。今も3カ月に1度の定期入院で利用している。

 兵庫県内の利用者も多い。播磨町の永野涼香さん(28)は生後1カ月の長男が5月中旬から髄膜炎で入院。当初は往復3時間をかけて通っていたが、神戸ハウスを知って宿泊を始めた。

 「1人目の子どもで不安が大きい中、ボランティアの方にも話を聞いてもらえて、ストレスも減った」。長男と過ごす時間を確保でき、夫と治療や退院後について話す時間も増えた。永野さんは「利用できてよかった。寄付で運営されていることも知らなかったので、退院したら寄付してお返ししたい」と話す。

 施設のボランティアには約150人が登録。ハンバーガーチェーン「日本マクドナルド」の県内の直営店やフランチャイズ店は店頭で寄付を募り、オーナーらのグループが食事の提供計画をつくるなどバックアップ体制を整えている。

 今年4月からは、家族の経済的負担をさらに軽くしようと、これまでの利用料1人千円が無償化された。ハウスマネージャーの仲井由起子さん(50)は「運営は寄付や募金で成り立っている。これからも利用者さんに寄り添い続けたい。そのためにも多くの人に施設を知ってもらいたい」と思いを語る。