兵庫県立大先端医療工学研究所(姫路市)などは、人工知能(AI)を活用し、腹部のエックス線画像から便秘の種類を正しく判別する技術を開発した。便秘には複数の種類があり、それぞれに適した治療や薬が必要となるが、これまでは判別が難しく、専門医の知見に頼る部分が大きかった。専門医ではない医師でも安定した精度で診断でき、患者の適切な治療方法の選択や、負担軽減につながることが期待されるという。(西尾和高)
便秘には生活習慣やストレスに起因する「機能性便秘」や、胃や大腸などの疾患が原因の「器質性便秘」など、複数の種類がある。腸内の便やガスのたまり方、量が、便秘の種類と密接に関係しているが、これらを測定する方法がなかった。腹部のエックス線画像から種類を判別するには専門知識が必要とされる上、医師によって診断結果が異なるケースもあるという。
腸内の便とガスの量を自動測定するため、同研究所と県立はりま姫路総合医療センター(姫路市)の共同研究チームは、2022年からAIを使った技術開発に着手。専門医が腸内にたまった便やガスの領域を鮮明にしたエックス線画像をAIに学習させ、正しく自動識別できるようにした。
また、ガスや便の量を示す数値指標を独自に考案。腹部全体に対する腸内ガスと便の割合をそれぞれ数値化することで、専門医以外でも便秘の種類を客観的に診断できるようにした。一つのAIだけでは便の輪郭を見逃す可能性もあるため、複数のAIに学習させて組み合わせた。これにより、便領域の識別精度が向上し、専門医と同じ水準の診断精度を実現させた。
次いで、AIで自動測定した腸内のガスと便の量について、専門医の判定とどのぐらい一致しているのかを検証した。類似性を評価する指標「相関係数」(1・0に近いほど高精度)は、腸内ガスは「0・947」、便は「0・840」となり、高精度で判別できたことが実証された。
共同チームは今後、3次元CT画像と連携させるなどして、さらなる精度向上に取り組む。将来的には炎症性腸疾患など、他の消化器系疾患の診断にも技術を応用するという。同研究所の小橋昌司教授(53)=AI医療画像解析=は「便秘の種類が分からない場合、治療薬を変えながら試行錯誤で治療方法を探ってきた。種類が分かれば、早期治療が可能になる」と話す。
【便秘】世界の人口の7人に1人(約15%)が悩む疾患とされる。主に、機能性便秘(生活習慣やストレスなどが原因)▽器質性便秘(胃や大腸などに疾患)▽症候性便秘(糖尿病など全身性疾患に伴うホルモン分泌、神経系の異常)▽薬剤性便秘(薬の副作用で発症)-がある。さらに、機能性便秘は「弛緩(しかん)性」(大腸の運動低下)▽「けいれん性」(ストレスなどによる大腸過敏)▽「直腸性」(便意なし)-の3種類に分類される。























