先生が担ってきた公立中学の部活動を地域の団体などに委託する「地域展開(地域移行)」。少子化などで従来の部活が困難になるとして国は早期実現を目指すが、人口減が深刻な地方ほど受け皿の確保は難しい。人口約2万人の兵庫県養父市では、既存の施設を生かし、「美術部」や「天文部」が新たに発足。近所の小学生も受け入れることで、子どもが少ない中でも体験の機会と活気を維持しようと努めている。(那谷享平)
時刻が午後3時半を回り、一足先に現れたのは小学生たちだった。
「今日は何するの?」。地元在住の画家田中今子さん(62)が笑顔で迎える。「何がしたい?」。手近な工具や材料を引っ張りだし、工作を始めた児童たち。安全な使い方を教えていると、遅れて中学生が到着する。「じゃあ前回の続きから」。田中さんに促され、それぞれ絵を描き始める。
木造の旧学校校舎を再利用したアート施設「おおやアート村ビッグラボ」。2012年に開館し、芸術家のアトリエや作品スペースを備えるこの施設の一室が、「美術クラブ」の活動場所だ。
























