放鳥から20年。花火が夜空に打ち上がると、2羽のコウノトリのシルエットが浮かび上がった=2日夜、豊岡市内
放鳥から20年。花火が夜空に打ち上がると、2羽のコウノトリのシルエットが浮かび上がった=2日夜、豊岡市内

 きらめく光の芸術を背に、つがいのシルエットが浮かぶ。コウノトリだ。初放鳥から20年、500羽を超える国特別天然記念物が野外で暮らす。その原点の地、豊岡市ならではの光景だろう。

 1971年、野生下で絶滅。豊岡市を中心に野生復帰への取り組みが地道に続けられ、2005年、豊岡から再び野外へと放たれた。今や全国各地でひなの誕生が相次ぐようになった。

 夏、同市の1級河川、円山川から花火が打ち上がる。2羽は音に驚くこともなく、巣塔の上でじっと見守っていた。この特別な競演はこれまでの歩みの成果かもしれない。

 人とコウノトリとの共生に向けたエールかのごとく、色鮮やかな大輪が次々と夜空で花開いた。(丸山桃奈)