田植えの季節を迎え水鏡となった田んぼ。かつては一面にイネが植えられたが、今は畑や牧草地のほか休耕田も目につく=丹波市春日町
田植えの季節を迎え水鏡となった田んぼ。かつては一面にイネが植えられたが、今は畑や牧草地のほか休耕田も目につく=丹波市春日町

 兵庫県内の米どころで田植えが本格化している。丹波市春日町の国史跡・黒井城跡では、きらきらする水田の中、休耕田や牧草地が交じったパッチワーク状の景色が眼下に広がる。

 コメ高騰が長引く中、主食用米の増産に期待が集まるが、作り手の高齢化、設備・資材の高騰など農家を取り巻く現状は厳しい。

 農林水産省が1月末時点でまとめた見通しによると、今年の主食用米の作付面積は前年実績比で微増、兵庫はほぼ横ばいだった。

 同町の集落営農組合「三気の郷」宮下勝美会長(68)は話す。「もうけがなくても田んぼを守ってきた人が限界を迎えている。価格高騰の恩恵は生産者には十分届いていないし、お金と労力を費やしてまで休耕田でまたコメをやろう、という声は聞こえてこないね」。(小林良多)