立候補予定者に質問する県立豊岡高校の生徒たち=豊岡市京町(撮影・長嶺麻子)
立候補予定者に質問する県立豊岡高校の生徒たち=豊岡市京町(撮影・長嶺麻子)

 任期満了に伴う兵庫県豊岡市長選(20日告示、27日投開票)を前に、高校生がまちの課題や将来像を立候補予定者に問う「市長選ミーティング」が、県立豊岡高校(同市京町)であった。進学などで地元を離れた若者が戻ってきたくなる政策や中心市街地の活性化、若者の政治参加の必要性など身近な疑問を投げかけた。(阿部江利)

 神戸新聞社が同校の協力を得て9日に実施した。立候補を表明した現職の関貫久仁郎氏(68)と元県議の新人門間雄司氏(53)、元副市長の新人前野文孝氏(57)が出席。いずれも3年で生徒会役員の4人が事前に考えた質問をぶつけた。

 大学進学で豊岡を離れる予定という吉田有日子さん(17)は「友人も進学で離れるが、若者が豊岡に帰ってきたいと思える政策はありますか」と問いかけた。

 関貫氏は、自身が民間企業で情報産業に関わった経験などを踏まえ、「若い女性が興味を持てる仕事、IT業界の仕事を引っ張ってきたい」と応じた。前野氏は「仕事だけでなく、わくわく感も大事。魅力ある企業があり、大学や演劇で全国から学生やクリエーターも集まる。わくわくするまちをつくりたい」と回答。門間氏は「子どもたちが地域の魅力を感じて育つ土壌づくりが必要。豊岡で働きながら世界とつながれるような、社会人の交換留学制度などを行政で作れないか」とした。

 出石地域から通学している山本紗都美さん(17)は「出石や城崎は観光客も多いが、学校帰りの豊岡駅周辺や大開通りは寂しく感じられる」と指摘し、中心市街地の活性化策を尋ねた。

 前野氏は「市街地でも若い人たちが集いの場をつくり始めており、その取り組みを育てたい」と訴えた。門間氏は「昔あった夜市などの祭りを復活させたり、歩行者天国にしたりして集いやすくしたい」と述べた。関貫氏も「許可がいるが、(商店の)シャッターにアートやペイントを描いてもらい、楽しく歩ける雰囲気にしたい」と提案した。

 このほか「若者の政治参加がなぜ大事か」「若者がチェーン店ではなく、地元の個人経営の店を利用したくなるアイデアはあるか」といった質問もあり、立候補予定者も熱心に答えた。