看板には今も「予知」の名が残る。そこに、研究者の矜恃(きょうじ)を見た気がした。
11月。東京で「地震予知連絡会」(予知連)の定例会があった。集まったのは全国の地震学者ら約20人。「内陸地震の予測と課題」をテーマに、議論はおよそ4時間に及んだ。
「『これまでの考え方ではダメだ』という経験を、地震が起きるたびに繰り返してきた」。参加者の訴えは切実だった。1995年に阪神・淡路大震災が発生して以降、列島は地震の活動期に入ったとされる。だが、相次いだ地震の多くは学者の「想定外」。発言はそのことを指していた。