晩秋の夕日を浴びて、境内が黄色く染まった。
南あわじ市広田広田の八坂神社。住宅街の一角にたたずむ小社に、高さ30メートルを超えそうなイチョウがそびえる。
「今年もきれい」。近所で生まれ育った女性(24)が見上げて言った。足元には、落ちた葉が積もり始めている。「黄色いじゅうたん」の完成にはもう少しかかりそう。
大勢の観光客が訪れるような名所ではない。しかし、地元の人々にとっては大切な木。「黄色が濃くなると秋の深まりを、落葉して一色に染まると冬の始まりを実感しますね」
兵庫県内でも南に下る紅葉の盛り。刻々と変化する葉の色が、季節の移ろいを伝えている。(大田将之)