「弱い家」に住まざるを得なかった人たち-。徳島大大学院の西村明儒(あきよし)教授(法医学)の言葉が気になっていた。
阪神・淡路大震災で亡くなった女性の死者数は、男性の死者数より967人多い。死亡率も女性のほうが高い。考えられる理由の一つとして西村教授が挙げたのが「弱い家」だった。
約25万棟の建物が全半壊した震災。都市住宅学会の当時の調査によると、戸建ての全半壊率が38・5%だったのに対し、長屋のそれは63%、文化住宅などの共同低層住宅は57・7%と高くなっている。被害が大きかったのは「民間の低家賃住宅」だと、同学会は指摘した。そこには誰が住んでいたのだろう。