事件当時に少年だった被告を映像でどう伝えるか。悩み続けたという山梨放送の武井功報道制作局長(左)と酒井康宜報道部長=甲府市
事件当時に少年だった被告を映像でどう伝えるか。悩み続けたという山梨放送の武井功報道制作局長(左)と酒井康宜報道部長=甲府市

 オンエア(放送)されたうち、遠藤裕喜被告(21)の顔写真を映したのは、キャスターが名前を読み上げる前後、わずか数秒間だった。事件当時19歳だった少年が罪に問われた甲府の夫婦殺人放火事件をどう報じるか。地元テレビ局「山梨放送(YBS)」は悩み、訴求力の源泉である「映像・写真」を抑制する決断をした。

 2022年4月に施行された改正少年法は、18、19歳を「特定少年」と区別し、起訴された時には、氏名や写真など本人を特定できる報道(推知報道)を解禁した。全国で初めて検察が少年の氏名を公表したのが、この甲府の事件だった。