「一瞬で大切な人の命を奪うのが原爆の恐ろしさ」と話す岡邊好子さん=宝塚市内(撮影・鈴木雅之)
「一瞬で大切な人の命を奪うのが原爆の恐ろしさ」と話す岡邊好子さん=宝塚市内(撮影・鈴木雅之)

 兵庫県原爆被害者団体協議会(県被団協)前理事長の岡邊(おかべ)好子さん(94)=宝塚市=は、15歳のときに広島で被爆し、青春を奪われた大勢の一人だ。語り部として当時の惨状を今も伝え続けるのは、「もう誰にも同じ思いをしてほしくない」との強い思いがあるからだという。きのこ雲の下で、岡邊さんが目にしたものとは-。(聞き手・津谷治英)

 岡邊さんは4姉妹の三女で、両親との6人家族。自宅は広島駅の近くにあった。戦前には家族そろって遠方に旅行に出かけるなど、恵まれた一家だったという。

 「1945年の夏は、広島女学院高等女学校の4年生。弁護士になる夢を胸に抱き、青春を謳歌(おうか)していた。8月5日、妹が疎開先から帰宅し、家族6人で夕餉(ゆうげ)の食卓を楽しく囲んだ」

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