兵庫県内の優れた地域活動や建築物などを表彰する「人間サイズのまちづくり賞」の花緑活動部門で、矢野小学校(相生市矢野町上)の運動場の芝生をボランティアで整備する校区住民らが、最上位の「県知事賞」に選ばれた。児童や住民らが芝生の上でのびのびと体を動かせるように、心を込めて丹精。そのたゆまぬ熱意と善意がたたえられた。(佐藤健介)
■地域の宝、高齢者らの活動にも開放
同賞は、経済効率優先の姿勢から生活者の視点や地域の絆を重視したまちづくりに転換しようと、県が1999年に創設。まちづくり活動や花緑活動に関する部門と、魅力ある建築物や緑化空間に関する部門を隔年で公募している。
同校の運動場は市内で唯一、天然芝を敷く。土の地面と比べてけがのリスクが少なく、児童らは全力でいろいろな運動にチャレンジ。走る、跳ぶ、投げるといった動作を取り入れたサーキットを重ね、身体機能の向上を図っている。
運動場の芝生化は県の緑化事業も利用し、2009年にスタート。当初敷いていたのは見た目は鮮やかだが痛みやすい高麗芝で、グラウンドゴルフの愛好家が鎌で草を刈って世話をしていた。当時校長だった勝谷秀史さん(71)がその姿を見ており、「ノウハウの不十分な住民だけで芝生を維持するのは無理がある」と組織化して管理することを提案した。
「矢野町の財産を残そう」を合言葉に、同校関係者に加え、自治会やPTA、スポーツクラブ21の住民らでつくる「矢野芝生管理委員会」が15年から、水やりや芝刈り、除草といった手入れを担い、勝谷さんは代表委員に就いた。運動場を利用するサッカークラブなども協力するほか、活動費は住民の寄付で賄い、水は水利組合が融通する。
芝は踏みつけに強いティフトン芝に切り替えた。講習会などで管理方法を学びながら、面積も約5800平方メートルにまで広げ、運動場の大半を覆うまでになった。刈った芝は農業用の肥料として再利用している。
同校は26年度に市内全域から児童を受け入れる「小規模特認校」となる予定。バランス良く運動能力が養える環境もメリットとしてPRする。
用途は学校教育にとどまらない。スポーツクラブの練習やイベント、ペタンクの大会、フレイル(加齢による心身の衰え)を防ぐために高齢者が体を動かす活動なども実施。地域の触れ合いや健康づくりを支えてきた。
山あいの冬の寒さに加え、近年は猛暑で手入れが大変だが「小学校を地域の宝として残したいという思いが活動の原動力」と同委員会長の瀧川憲昭さん(77)。「緑のグラウンドがこれからも住民のコミュニティーの場となれば」と願う。
























