ロックバンド「FUNKIST(ファンキスト)」のボーカルで、南アフリカ人の母と日本人の父を持つ染谷西郷(そめやさいごう)さんを招いた人権講演会が今月中旬、三田市総合文化センター・郷の音ホール(天神1)であった。参院選でも繰り広げられた外国人や多様性を巡る論争。時期やテーマが重なったのは偶然だが、講演会を企画した三田松聖高校(四ツ辻)の生徒約640人は、染谷さんが苦しんだ経験やメッセージに耳を傾け、考えた。(尾仲由莉)
■父母はイギリスに渡って婚姻届提出
染谷さんの母の母国、南アフリカでは1948年から90年代初めまで、アパルトヘイト(人種隔離政策)があった。母は白人の家系で、黒人とは居住区が別。黒人は赤ちゃんのミルクすら手に入らない厳しい生活環境だったが、その窮状は伝えられず、黒人を悪者にするような情報が広まっていたという。
そして、他人種間の結婚は禁止されていた。そんな中で出会ったのが、フラメンコのギタリストの父とダンサーだった母。しかし、一緒に出歩くこともできず、母方の祖父母が父を家にかくまった。