武器のシンボルである巨大な剣を地中に突き刺し、二度と引き抜かない。非戦の決意を込めたモニュメント(高さ26・75メートル)がそびえる。姫路・手柄山の山頂に立つ太平洋戦全国戦災都市空爆死没者慰霊塔。空襲で犠牲になった全国約51万人を悼む国内唯一の施設だ。
北東2・5キロの先には姫路城が翼を広げた白鷺のような姿を見せている。姫路市史などによると市街地の大方が焦土と化したが、城は炎上しなかった。戦時中、防空対策として黒く染めたわら縄で擬装網を作り、天守閣や櫓、土塀を覆った。黒い天守の写真に息をのむ。いま私たちを魅了する輝く白と80年前のくすんだ黒。時を超えた対比に胸を突かれる。