東海から九州沖の海底に延びるくぼみ「南海トラフ」沿いでは、今後30年以内に80%程度の確率でマグニチュード(M)8~9級の巨大地震が起こるとされる。政府は3月、全国で最大29万8千人が犠牲になるという新たな被害想定を示した。その中に「半割れ」という耳慣れない言葉が登場する。防災に関するキーワードを解説し、備えにつなげる新シリーズの第1回は、この半割れを深掘りする。(上田勇紀)

南海トラフ、32時間後の例も/事前避難徹底、被害低減を

 半割れとはその名の通り、半分割れる、ということ。南海トラフ巨大地震の想定震源域は東西に長いが、その片側でM8級の地震が起こることを指す。

 半割れが注目されるのは、時間差で残り半分が割れるケースが確認されているからだ。約100~150年周期で繰り返す南海トラフ地震の直近2回はこのタイプに当たる。