育英高校の創立125周年式典で講演する劇作家の平田オリザさん=神戸市長田区
育英高校の創立125周年式典で講演する劇作家の平田オリザさん=神戸市長田区

 育英高校(神戸市長田区長尾町2)の創立125周年を記念した式典と祝賀会が26日、神戸市内で開かれた。劇作家で芸術文化観光専門職大学(豊岡市)学長の平田オリザさんによる記念講演もあり、在校生や卒業生、教職員らを前に、現代社会で必要とされるコミュニケーション能力について語った。

 同校は1899(明治32)年、神戸市内で「数英漢学会」として創立。これまでに約3万5千人の卒業生を社会に送り出してきた。当初は男子校だったが、2015年から女子生徒も受け入れている。節目を祝うため、教職員らを中心に実行委員会を立ち上げ、記念式典と講演会を企画した。

 式典では、生徒代表の村川実優さん(18)が「生徒にとって学校はただの建物ではなく、ともに学び成長する場。先輩たちが築いてきた伝統を絶やさず受け継いでいく」と決意を述べた。

 平田オリザさんは「わかりあえないことから-いま、必要とされるコミュニケーション能力とは何か」と題して講演。国ごとの国民性や文化の違いなどを例に挙げながら、グローバル化が進んでも「普遍的なコミュニケーション能力はない」と強調した。その上で、これからは「行こうとする国への自らの好奇心と、自分の文化を他者に押し付けない謙虚さが求められる」と語りかけた。

 同校は今年から、社会課題の解決に取り組み、グローバルな人材育成を目的とした兵庫県の「ひょうごリーダーハイスクール」に指定された。それを受け25年に新たなコース制に再編するといい、同校の武井宏之理事長は「多様な学びに応え、教育内容の充実を図る。海外の提携校も増やし、生徒を後押ししたい」と話していた。

 式典後、場所を移して行われた記念祝賀会には、卒業生でシドニー五輪柔道銀メダリストの篠原信一氏も駆けつけた。